セッション情報 |
パネルディスカッション18(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)
新重症度基準からみた重症急性膵炎の診療
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タイトル |
消PD18-1:新重症度判定基準による重症急性膵炎診療の現状
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演者 |
北村 勝哉(昭和大・消化器内科) |
共同演者 |
吉田 仁(昭和大・消化器内科), 井廻 道夫(昭和大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】当施設における新重症度判定基準による重症急性膵炎(SAP)診療の現状を検討する.【方法】2002年11月から2010年12月まで当施設で診療したSAP 156例を対象とし,2008年9月までの旧基準重症87例(O群)と2008年10月以降の新基準重症69例(N群)の診療成績を比較した(中央値表記).現状での当施設のSAPの診療方針は,膵造影不良域合併例に動注療法,臓器障害合併例にCHDF,感染対策として経管栄養を施行している.【成績】O群87例のうち新基準重症は,75例(86.2%)であり,予後因子重症47例(54%),造影CT重症72例(82.8%),予後因子かつ造影CT重症44例(50.4%)であった.N群69例の内訳は,予後因子重症40例(58%),造影CT重症66例(95.7%),予後因子かつ造影CT重症36例(52.2%)であった.O群とN群の年齢,性別,当院への紹介・搬送率(64.4% vs. 63.8%),発症から入院までの日数(1日 vs. 1日)に有意差なし.治療法では,各群の動注療法施行率(37.9 vs. 27.5%),経管栄養施行率(52.9 vs. 39.1%)に有意差を認めなかったが,初期輸液量(4.7 L/日 vs. 5.3 L/日),CHDF施行率(71.3% vs. 41.3%),SDD施行率(34.5% vs. 0%),抗菌薬投与期間(13日 vs. 8日)に有意差を認めた(p<0.001).各群の臓器障害合併率(63.2% vs. 58%),重症感染症合併率(26.4% vs. 20.3%),手術施行率(3.4% vs. 1.4%),致命率(5.7% vs. 7.2%)に有意差を認めなかったが,ICU入室期間(7日 vs. 5日,p<0.05),入院期間(29日 vs. 19日,p<0.001)は,O群と比較し,N群で有意に短縮した.【結論】新基準SAP例は,造影CT判定により診断される割合が多かった.適切な初期輸液量,抗菌薬投与および特殊治療選択によりSAPの病態は改善し,入院期間が短縮したと考えられた. |
索引用語 |
重症急性膵炎, 新重症度判定基準 |