セッション情報 |
パネルディスカッション18(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)
新重症度基準からみた重症急性膵炎の診療
|
タイトル |
消PD18-5追1:急性膵炎重症度判定基準の改定に関する当院での検討
|
演者 |
武田 剛志(関東中央病院・消化器内科) |
共同演者 |
水野 卓(関東中央病院・消化器内科), 川瀬 建夫(関東中央病院・消化器内科) |
抄録 |
【目的】重症急性膵炎に対しては、的確な重症度の判定とそれに応じた治療が必要とされる。2008年10月に改訂された重症度判定基準について、当院における評価を行った。【方法】対象は2004年12月から2011年2月までに当院で経験した急性膵炎95例。新・旧の両基準で重症度判定を行い、不一致例に着目して新基準の妥当性を評価した。また新基準においてCT gradeのみで重症となる症例についても検討した。【成績】患者背景は、平均年齢59歳(21~92歳)、男性/女性 69例/26例。成因はアルコール性49例、胆石性23例、特発性23例。旧基準に基づき治療された前期群47例と新基準に基づき治療された後期群48例にわけると、各群での重症率は4.3%、37.5%であった。両群でピークCRPに差はなかったが、後期群で年齢が高く、禁食期間が短かった。前期群非重症45例を新基準で分類すると、重症4例/非重症41例となった。ピークCRPは16.1 mg/dl/11.3 mg/dl、禁食期間は10日/7日であり、旧基準で非重症とされた集団から、新基準により重症例を拾い上げられる可能性が示唆された。また後期群非重症30例を旧基準で分類すると、重症3例/非重症27例となった。ピークCRPは13.3 mg/dl/7.1mg/dlであったが、禁食期間は4日/4日と差がなく、新基準により過剰な重症判定を避けることが可能と考えられた。後期群重症18例のうち、13例がCT gradeのみで重症と判定されていた。予後因子による重症5例と比較すると、ピークCRP 23.7 mg/dl/17.7 mg/dl、禁食期間 8日/10日と差を認めず、CT gradeのみによる重症判定も妥当と考えられた。CT gradeのみで重症とされた13例中10例が旧基準では非重症であり、新基準の有用性が示された。【結論】急性膵炎重症度判定基準の改訂により、旧基準非重症例に潜んでいた重症例の拾い上げが可能となり、また旧基準重症に紛れ込んでいた非重症例を除外することが可能であった。 |
索引用語 |
急性膵炎, ガイドライン |