セッション情報 |
パネルディスカッション18(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)
新重症度基準からみた重症急性膵炎の診療
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タイトル |
消PD18-6:新重症度判定基準により判定される重症急性膵炎の臨床像
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演者 |
桐山 勢生(大垣市民病院・消化器内科) |
共同演者 |
熊田 卓(大垣市民病院・消化器内科), 谷川 誠(大垣市民病院・消化器内科) |
抄録 |
現行の急性膵炎新重症度判定基準では、より簡便になり造影CTを行わなくても予後因子で重症度判定を行うことができる。そこで今回、急性膵炎自験例を対象に予後因子により判定される重症急性膵炎ならびにCT所見により判定される重症急性膵炎の臨床像を調査し報告する。【対象、方法】対象は、1990年以降に当院で経験された急性膵炎521例で、新重症度判定基準により判定される重症急性膵炎の臨床像をretrospectiveに調査した。予後因子による重症例に関しては、旧基準と比較検討した。【結果】531例中95例(17.9%)が「重症」と判定され、死亡率は22.1%(21例)であったのに対し、旧判定基準では131例(24.7%)が「重症」と判定され、死亡率は16.8%であった。予後因子の中で最も陽性項目が多かったのはCRP76例(80.0%)であり、次いでLDH65例、Ca57例、BE(ショック)51例、年齢50例、BUN(CRE)26例、PaO2(呼吸不全)30例、血小板47例、そしてSIRS25例であった。新判定基準による重症膵炎では、旧基準に比べ高齢者が多く若年者に多いアルコール性が相対的に少なくなっていた。一方、CT所見で重症と判定された症例は531例中44例(8.3%)で、予後因子により判定された92例(17.3%)に比べて少なく、CT所見のみによる重症例はわずかに6例であった。この6例には動注療法の適応となる膵の造影不良を認めた症例はなく、また死亡例もなかった。【考察】重症急性膵炎の発症早期において致命的となる病態は、ショックや腎不全といった多臓器不全であり、これを反映した予後因子により重症度判定は可能と考えられた。さらに改訂により死亡率の高い重症例を検出することが可能となり有用性が高まったといえる。CT所見は特に造影不良域の所見が重要であり、(予後因子による)重症例を対象に造影CTを施行して治療方針の決定、すなわち動注療法適応に関する判断を行うという意義が大きいと考えられた。【結論】今回の改訂では、予後因子のみで死亡率がさらに高い重症の検出が可能となり、また造影CTを行わなくても重症度判定が可能となったことはreasonableと考えられた。 |
索引用語 |
急性膵炎, 重症度判定基準 |