セッション情報 |
パネルディスカッション18(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)
新重症度基準からみた重症急性膵炎の診療
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タイトル |
消PD18-7:急性膵炎全国調査から~入院時造影CTによる膵造影不良は明らかな予後不良因子である
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演者 |
廣田 衛久(東北大・消化器内科) |
共同演者 |
佐藤 賢一(東北大・消化器内科), 下瀬川 徹(東北大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】急性膵炎重症度判定基準が改定され、造影CTのみで重症度判定が可能になった。これにより、急性膵炎発症早期に造影CTを行うことで膵虚血と重症度を診断し、蛋白分解酵素阻害薬・抗菌薬膵局所動注療法(動注療法)で救命率の向上を目指す診療手順が可能になった。膵壊死と予後の関係は明らかであるが、発症早期に造影CTで診断した膵造影不良と予後の関係は明らかでない。今回、入院時造影CTで膵造影不良を呈した患者の予後と、造影不良の無かった患者の予後の違いを急性膵炎全国調査の結果を用いて解析した。【方法】2007年1年間の急性膵炎患者を対象とした厚生労働省難治性膵疾患研究班の全国疫学調査を用い、患者2,256人分の臨床データを解析した。入院時に造影CTを行い、所見に記載漏れが無かったのは、このうち983人であり、以下の2群に分けて解析した。a)CTにて膵に造影不良域を認めた194人。b)CTにて膵に造影不良を認めなかった789人。解析項目は、臓器不全、感染合併症、致死率の3項目。【成績】1)臓器不全;a群では16.1%に認めたのに対し、b群では5.1%であった(p<0.0001)。多臓器不全の頻度は、a群が8.3%であったのに対し、b群では1.5%であった(p<0.0001)。2)感染合併症;敗血症、感染性膵壊死、膵膿瘍、腹腔内膿瘍のいずれかを合併したのはa群で11.9%であったのに対し、b群で2.5%であった(p<0.0001)。3)致死率;a群では5.3%であったのに対し、b群では0.5%であった(p<0.0001)。【結論】対象が入院時に造影CTを行った(行えた)患者であり、この点でバイアスがあるが、明白に入院時の造影CT所見で膵の造影不良を認める患者は予後が不良であった。しかし、これらの患者の動注療法施行率は16.0%であり、必ずしも早期に介入的な治療がなされていないのが2007年の結果である。造影CT所見のみで重症度が判定できるようになったことで、動注療法などの特殊治療を開始するハードルは低くなり、予後改善に寄与することが期待される。 |
索引用語 |
急性膵炎, 造影CT |