セッション情報 |
パネルディスカッション18(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)
新重症度基準からみた重症急性膵炎の診療
|
タイトル |
消PD18-9:当院での重症急性膵炎症例に対する旧基準、新基準を用いての検討
|
演者 |
植木谷 俊之(山口大大学院・消化器病態内科学) |
共同演者 |
戒能 聖治(山口大大学院・消化器病態内科学), 坂井田 功(山口大大学院・消化器病態内科学) |
抄録 |
【背景】2008年10月に厚生省急性膵炎重症度判定基準が改訂された。予後因子項目が少なくなり、また、予後因子と造影CT gradeが独立した判定基準となったことで、重症度判定が簡便になった。【目的】重症度判定基準の改定により、重症急性膵炎患者を当院(高次医療施設)への早期搬送が可能となったか。また、当院に入院した重症急性膵炎症例に対して旧基準と新基準での判定結果を比較検討する。【対象・方法】対象は、2005年1月~2011年2月までに当院に入院した重症急性膵炎症例の25例(旧基準で入院となった17例;旧基準群、新基準で入院となった8例;新基準群)で、男女比は22:3、平均年齢は52.6歳、成因はアルコール22例、胆石2例、特発性1例であった。(検討1)旧基準群と新基準群の膵炎発症から当院受診までの期間、当院搬送前における重症度判定の有無について検討する。(検討2)旧基準群を新基準で、新基準群を旧基準で再判定することにより、新基準の妥当性について検討する。【結果】(結果1)発症から当院受診までの平均期間は、旧基準群17例では2.6日で、新基準群8例では1.0日であった。また、直接当院を受診した3例を除いた旧基準群14例中8例(57.1%)で、新基準群では、8例中7例(87.5%)で当院搬送前に重症膵炎と診断されていた。(結果2)旧基準群17例中13例(76.5%)は新基準でも同様に重症と判定され、3例(17.6%)は経過中に重症となり、1例(5.9%)は重症と判定できなかった。新基準群8例中7例(87.5%)は旧基準でも重症と判定され、1例(12.5%)は経過中に重症と判定された。【考察】新基準では、重症度判定がより容易となり、早期に高次医療施設への搬送が可能となることが示唆された。一方で新基準では、経過観察中に重症基準を満たす症例があるため、より慎重な経過観察が必要であると考えられた。 |
索引用語 |
重症膵炎, 新基準 |