セッション情報 |
パネルディスカッション18(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)
新重症度基準からみた重症急性膵炎の診療
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タイトル |
消PD18-11:当院の症例での新旧厚生労働省急性膵炎重症度判定基準の検討
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演者 |
吉田 司(倉敷中央病院・消化器内科) |
共同演者 |
菊池 理(倉敷中央病院・消化器内科), 山本 博(倉敷中央病院・消化器内科) |
抄録 |
【目的】急性膵炎は早期に重症化する症例を抽出し高次施設への搬送や集中治療を行うことが予後の改善につながる一方、医療資源の有効活用の為に真に重症な症例を抽出する必要がある。本邦では1999年の厚生労働省急性膵炎重症度判定基準(旧基準)が頻用されていたが2008年に改訂された(新基準)。新基準は旧基準に比べ判定が簡便かつ高い特異度を持つ一方重症化する症例に対する感度が不十分な可能性が指摘されている。今回当院の症例を新旧の基準で検討し報告する。【対象と方法】2005年1月から2008年3月に急性膵炎発症2日以内に当科で加療した解析可能な264例を対象とし入院時の新旧基準の死亡例に対する感度、特異度を検討した。【結果】264例中死亡例は7例(2.6%)であった。旧基準は重症度スコア0点を軽症、1点を中等症、2点以上を重症としたところ軽症140例、中等症38例、重症86例であった。新基準は重症度スコア3点未満かつCT grade2未満を軽症、重症度スコア3点以上またはCT grade2以上を重症としたところ軽症218例、重症46例であった。新基準では旧基準と比較して重症と判定される割合が有意に低かった(p<0.05、McNemar検定)。死亡例7例は旧基準では全例重症に分類されたが新基準では6例が重症、1例が軽症に分類された。旧基準重症例の死亡率は8.1%、軽症例の死亡率は0% 重症例の死亡例に対する感度100% 特異度69.3% 正確度70.1%であった。新基準重症例の死亡率は13.0%、軽症例の死亡率は0.5%、死亡例に対する感度85.7% 特異度84.4% 正確度84.5%であった。【結論】新基準は旧基準と比較し重症と判定される割合が有意に少なかった。一方新基準は高い感度であったが100%ではなく、軽症判定での死亡例があり注意を要する。 |
索引用語 |
急性膵炎, 重症度判定 |