セッション情報 |
パネルディスカッション18(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)
新重症度基準からみた重症急性膵炎の診療
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タイトル |
消PD18-12追2:当院における急性膵炎99例の検討
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演者 |
小林 正佳(亀田総合病院・消化器内科) |
共同演者 |
平田 信人(亀田総合病院・消化器内科), 中路 聡(亀田総合病院・消化器内科) |
抄録 |
【背景と目的】2008年10月に急性膵炎重症度判定基準が18年ぶりに改定された.新基準では予後判定因子の項目が簡便化され,CT所見が独立した判定項目となるなど,改善が図られている.同一症例に対し旧基準と比較することで,新基準の有用性や問題点について検討した.【対象と方法】2007年1月から2010年12月までに当院で経験した急性膵炎99例を対象とした.それぞれ旧基準・新基準で重症度判定を行い,重症度毎に転帰と入院期間について比較検討した.【結果】重症度は旧基準で重症46例,中等症21例,軽症32例,新基準で重症31例,軽症68例であった.死亡例は3例で,いずれの基準でも重症例にあたり,死亡率は旧基準の重症例で6.5%,新基準の重症例で9.7%であった.平均入院期間は,旧基準の重症で39.8日,中等症で15.5日,軽症で12.3日であり,重症と中等症では有意差を認めたが(p<0.01),中等症と軽症では有意差を認めなかった.新基準の重症で49.6日,軽症で14.9日であり,有意差を認めた(p<0.01).新基準での予後因子2点以下で21.5日,3点以上で49.7日であり,有意差を認めた(p=0.050).CT Grade1で15.2日,Grade2で50.6日,Grade3で60.3日であり,Grade1とGrade2で有意差を認めた(p=0.020).新基準で重症例のうち,CT Gradeのみで重症となる症例は11例(35.5%)認め,この平均入院期間は40.8日であった.旧基準でのみ重症となる症例は15例あり,その平均入院期間は19.6日で,この症例を除いた新基準での軽症例とは有意差を認めなかった.【結論】旧基準で重症,新基準で軽症と判断される症例が複数認められたが,その症例に死亡例はなく,入院期間もその他の軽症例と変わらず,新基準は簡便化されながらも,重症な症例を適切に判断していると考えられた.一方,CT Gradeのみで重症と判断される症例も平均入院期間は長く,独立した判定項目のCT所見も重要と考えられた. |
索引用語 |
急性膵炎, 重症度 |