セッション情報 パネルディスカッション18(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)

新重症度基準からみた重症急性膵炎の診療

タイトル 消PD18-13:

急性膵炎における尿中trypsinogen-2および尿中Trypsinogen Activation Peptide (TAP)測定の多施設検討

演者 保田 宏明(京都府立医大・消化器内科)
共同演者 片岡 慶正(京都府立医大・消化器内科DELIMITER大津市民病院), 下瀬川 徹(東北大大学院・消化器病態学)
抄録 【目的】尿中trypsinogen-2定性法による急性膵炎の診断能および尿中trypsinogen-2および尿中TAP定量法の急性膵炎重症度評価における有効性について検討すること。【方法】厚生労働省難治性疾患克服研究事業の難治性膵疾患に関する調査研究班構成メンバーおよびその関連施設において、倫理委員会での承認後、急性膵炎疑い患者を登録し、尿を採取・保存した。一般診療で行われる血液・尿検査および画像検査により、急性膵炎の診断さらにその重症度を評価した。収集された尿検体を用い、尿中trypsinogen-2定性(試験紙法)・定量(ELISA法)をユニチカ(株)、尿中TAP定量(ELISA法)をオリエンタル酵母工業(株)でそれぞれ一括測定し、それらのデータを解析した。【成績】11施設から登録された57症例について検討した。それらの内訳は、急性膵炎:45症例、急性膵炎以外:12症例であった。尿中trypsinogen-2定性法の急性膵炎診断についての感度は86.7%、特異度は75.0%。尿中trypsinogen-2(μg/L)およびTAP(ng/mL)定量法の平均値±標準誤差は予後因子軽症群で2545±879および4.48±0.86、予後因子重症群で4310±1442および6.59±1.44、造影CT Grade軽症群で1785±736および4.05±0.94、造影CT Grade重症群で3030±920および6.80±1.18で、いずれも、重症群で高い傾向は認めたが、統計学的有意差は認めなかった。【結論】尿中trypsinogen-2定性法は試験紙を用いた簡便な検査法で、医院や診療所での急性膵炎診断のスクリーニングに有用と考えられた。尿中trypsinogen-2および尿中TAP定量法は、急性膵炎重症度判定の一助となる可能性が示唆された。(本研究は、厚生労働省難治性疾患克服研究事業の難治性膵疾患に関する調査研究のおける共同研究の一つとして行われた。)
索引用語 trypsinogen-2, TAP