セッション情報 パネルディスカッション18(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)

新重症度基準からみた重症急性膵炎の診療

タイトル 内PD18-14:

重症急性膵炎における動注療法とThrombomodulin α(rTM)投与の臨床的検討

演者 江口 考明(済生会中津病院・消化器内科)
共同演者 福知 工(済生会中津病院・消化器内科), 蘆田 潔(済生会中津病院・消化器内科)
抄録 【目的】rTMはDICの治療薬として有効性が証明されている薬剤である。rTMは他にもHMGB1と結合し抗炎症作用が報告され膵炎治療への有効性が期待される。2008年に改定された診断基準に基づき,当院で重症急性膵炎をみたす患者のうち急性期DIC scoreを満たしrTMを使用した5例について有効性を検討する。【対象と方法】2006~2010年に入院した重症急性膵炎15例をretrospectiveに検討。15例を動注療法とrTM使用の有無で3群に分けた。A群:5例(動注療法のみ),B群:5例(動注なし+rTM投与),C群:5例(動注なし+rTMなし)で比較(wilcoxon順位和検定使用)。【結果】予後因子とCTgrade両方で重症を満たした患者数は(A群:B群:C群/3:2:1)。それぞれの転帰は(死亡例:感染性膵壊死)で(A群/0:2,B群/0:1,C群/1:2)となった。それぞれの群で原因,初期輸液量,蛋白分解酵素阻害剤使用量/日数,発症時CRP値/治療7日目値/陰性化日数,入院日数で有意差を認めなかった。しかし平均年齢(A群:B群:C群/51.4:79.4:63.6)でA群vs B群:P=0.021(P<0.05),発症時APACH II score(A群:B群:C群/11.2:14.6:7.8)でB群vs C群:P=0.027(P<0.05)で有意差を認めた。また発症時T-AMY (U/l)(A群:B群:C群/977.4:2911.4:836.6)でA群vs B群:P=0.060,B群vs C群:P=0.036(P<0.05)。経口開始までの日数(A群:B群:C群/29.6:12.6:17.5)でA群vs B群:P=0.074であった。【考察】B群はA群よりも有意に高齢で平均70歳を越えているにもかかわらず,動注療法を行わなくても同等の治療効果を得られ,早期経口摂取できる可能性を示唆した。APACH II scoreからB群はC群よりも発症時有意に重篤だったが,治療効果は同等だった。またC群は死亡例が1例あるがA群,B群に死亡例は無かった。つまりB群はrTMにより膵炎重篤化を逃れた可能性を示唆し,動注を行わずに高い治療効果を示唆した。重症急性膵炎でrTMの有効性が示唆されたので報告する。
索引用語 急性膵炎, Thrombomodulin α