セッション情報 パネルディスカッション19(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

生物学的製剤時代におけるIBDの治療とその選択-粘膜治癒と長期的展望

タイトル 内PD19-4:

潰瘍性大腸炎における内視鏡的粘膜治癒の特徴と治療選択基準としての意義

演者 伊藤 貴博(旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科)
共同演者 藤谷 幹浩(旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科), 高後 裕(旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科)
抄録 【目的】クローン病と同様,潰瘍性大腸炎(UC)の治療において粘膜治癒の重要性が議論されているが粘膜治癒の定義や内視鏡所見については一定の見解が得られていない.本研究では内視鏡による粘膜微細構造の解析から,粘膜治癒に相当する内視鏡的特徴を明らかにし,これに基づいたUC治療の再燃予防効果を検証した.【方法】(1)UC121例で内視鏡時の生検材料の組織学的重症度と内視鏡的微細構造を比較し,粘膜治癒に相当する内視鏡所見(適宜拡大観察を併用)を検討した.また各種治療法別の粘膜所見の推移について検討した.(2)臨床的に寛解である18例の内視鏡的微細構造を記録し,再燃との関連性についてprospectiveに検討した.(3)臨床的に寛解であるものの拡大内視鏡上,粘膜治癒を完全に得られていない患者14例で,内科的治療強化群と非強化群に分けて治療強化の是非についてretrospectiveに検討した.【結果】(1)内視鏡的に規則的な腺管配列や小腸絨毛様粘膜の微細構造を示す粘膜では多くが組織学的に寛解であり,この2所見が内視鏡的粘膜治癒に相当する所見と考えられた.一方,微小な上皮欠損(MDE),小黄色班,珊瑚礁様粘膜を呈した病変では全例組織学的に高い活動性を示しており非粘膜治癒所見と考えられた.また潰瘍性病変はMDEをへて小腸絨毛様粘膜へと変化する特徴的な治癒過程をとっており,IFX,タクロリムス,CyAといった治療の違いによる治癒過程の差はみられなかった.(2)全大腸が上記(1)の内視鏡的粘膜治癒所見を呈していたものでは,非粘膜治癒所見を認めるものに比べ有意に累積再燃率が低かった.(3)臨床的に寛解であっても内視鏡上非粘膜治癒所見を認める症例について,治療を強化した群でしなかった群より有意に累積再燃率が低かった.【結論】UC粘膜において,規則的な腺管配列や小腸絨毛様粘膜が粘膜治癒に相当すると考えられた.治療で粘膜治癒に至らない場合は追加の治療を行うことで再燃率を低下させることが可能である.今後内視鏡的粘膜治癒所見を加味した新しい治療戦略を確立していく必要がある.
索引用語 潰瘍性大腸炎, 粘膜治癒