セッション情報 |
パネルディスカッション19(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
生物学的製剤時代におけるIBDの治療とその選択-粘膜治癒と長期的展望
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タイトル |
内PD19-9:Crohn病の腸管粘膜治癒判定におけるダブルバルーン小腸内視鏡の役割-超音波内視鏡の検討も含めて
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演者 |
加藤 真吾(埼玉医大総合医療センター・消化器・肝臓内科) |
共同演者 |
可児 和仁(埼玉医大総合医療センター・消化器・肝臓内科), 屋嘉比 康治(埼玉医大総合医療センター・消化器・肝臓内科) |
抄録 |
【目的】今回我々はクローン病(CD)の診断およびinfliximab(IFX)治療効果判定におけるダブルバルーン小腸内視鏡(DBE)の有用性について検討した。また、DBE下EUSについても検討した。【方法】2006年4月より2011年3月までの間、当科にてDBEを施行したCD患者80 例(施行回数173 回)につき検討した。使用した機種はFUJIFILM EN-450T5/W,超音波内視鏡検査にはSP702 20MHz をDBE下に施行した。今回、“粘膜治癒 (MH)”の定義として、DBEによりびらん・潰瘍・発赤・浮腫の無い粘膜もしくは潰瘍瘢痕と定義した。【成績】病型は小腸型36(45%)・大腸型12(15%)・小腸大腸型32(40%)で、DBEの平均観察距離は約120cmであった。DBEにより小腸大腸とも縦走潰瘍・敷石上変化のCDに特徴的所見のみならず、縦走びらん・小潰瘍といった初期病変も観察可能であった。DBEによりMHと判断した病変と小潰瘍・縦走潰瘍・びらん・浮腫といった活動性病変の腸管壁の厚さをEUSで検討した。検討した病変は小腸病変28病変および大腸病変13病変であった。MH部分の腸管壁厚は小腸2.7±0.45mm, 3.5±0.45mmで活動性部分の腸管壁厚は小腸(小潰瘍4.7±0.45mm・びらん5.6±0.9mm・縦走潰瘍5.9±0.81mm・浮腫5.7±0.86mm, p<0.05), 大腸(縦走潰瘍6.7±1.3mm, 浮腫7.1±0.92mm, p<0.05)であり、DBE観察でMHの判断は可能であった。つぎにCDにてIFXを投与した患者のうちDBEにて効果判定を行った29例について大腸および小腸病変のMH率、改善率、不変+増悪率は、MH(大腸病変:75%(15/20)、小腸病変:58%(15/26))、改善(大腸病変:10%(2/20)、小腸病変:8%(2/26))、不変+増悪率(大腸病変:15%(3/20)、小腸病変:35%(9/26))であり、IFXのMH効果は大腸病変のほうが高い傾向であった。 またMHにいった10例は10例とも寛解維持を保っていた。【結論】IFXによりMHに至った症例は寛解維持率が高く、CD治療目標にはDBEによるMH評価が重要であることが示唆された。 |
索引用語 |
クローン病, 粘膜治癒 |