セッション情報 パネルディスカッション19(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

生物学的製剤時代におけるIBDの治療とその選択-粘膜治癒と長期的展望

タイトル 内PD19-10:

クローン病に対するInfliximabの長期治療成績と内視鏡的バルーン拡張術併用の意義

演者 小野 陽一郎(福岡大筑紫病院・内視鏡部)
共同演者 平井 郁仁(福岡大筑紫病院・消化器内科), 松井 敏幸(福岡大筑紫病院・消化器内科)
抄録 【目的】IFXの長期治療成績に加え、腸管狭窄への対処法として内視鏡的バルーン拡張術(EBD)併用の意義を明らかにする。【方法】2011年1月迄に当科でIFXを投与したCD患者248例中、維持投与を行った185例に対する有効性を遡及的に評価した(平均観察期間28.4ヶ月)。併用薬については、免疫調節薬、在宅経腸栄養(HEN)の有無に関して検討した。治療効果判定は、追加治療を要さず、或いは腸管切除以外の追加治療を要するが、社会生活を送れている群を有効、外科的治療や長期入院を要した群を無効と定義し、Kaplan-Meier法を用いて解析した。更に累積手術率を維持投与群と初回無効・episodic投与群間で同様に比較検討した。また、維持投与群における手術群と非手術群の臨床像について多変量解析を用いて比較した。対象症例中、口側腸管の拡張を伴うか連続する腸管腔の1/2未満の高度狭窄症例は74例(40%)認め、そのうち閉塞症状を有する32症例(17.3%)にはEBDを施行した。これら32症例の累積手術回避率を算出し、EBD併用群と非併用群間で比較検討した。【成績】長期治療成績は、48ヶ月時点で79.1%が有効で、併用薬の有無で有意な差はなかった。また、維持投与群は、初回無効・episodic投与群に比して累積手術率が有意に低下した(p<0.001)。手術群と非手術群の臨床像の比較では、非手術群は観察期間2年以上の症例が有意に多かった。症状を有する狭窄症例においてEBD併用群は、非併用群に比して累積手術回避率が低下する傾向を認めた(p=0.052)。更に維持投与群はEBDを外科的治療と仮定した場合の維持投与群に比して累積手術回避率が有意に低下した(p<0.0017)。【結論】CDに対するIFXの維持投与は長期にわたる高い有用性と手術率の低下をもたらした。高度狭窄症例に対するEBDは手術回避に有用であり、結果的に寛解維持率を向上させた。
索引用語 インフリキシマブ, 内視鏡的バルーン拡張術