セッション情報 |
パネルディスカッション19(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
生物学的製剤時代におけるIBDの治療とその選択-粘膜治癒と長期的展望
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タイトル |
消PD19-11:小腸切除後のクローン病における治療選択
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演者 |
渡辺 修(名古屋大大学院・消化器内科学) |
共同演者 |
安藤 貴文(名古屋大大学院・消化器内科学), 後藤 秀実(名古屋大大学院・消化器内科学) |
抄録 |
【目的】ダブルバルーン小腸内視鏡(DBE)を用いた小腸術後クローン病(CD)の治療法の検討を行った。【方法】2003年から2010年まで小腸病変を切除した18例を検討した。手術時に病変が残存、術後残存小腸が200cm以下の難治例は術直後からIFXを開始した。またDBEによる内視鏡所見及び内視鏡時に行った造影所見のうち最も高度の炎症所見を、正常・びらん、潰瘍、狭窄の3群に分類し、正常・びらん群は現行の治療を続行、潰瘍群はIFX、狭窄群は手術・拡張術を行った。初回DBEは術後6ヶ月に行い、その後は1年毎にDBEを行った。【成績】18例に対し45回のDBEを施行した。残存病変のため術直後からIFXを始めた症例は4例で(平均観察期間2.4年)、3例は内視鏡的寛解を維持し、1例は18ヶ月後にDBEで潰瘍を認めたが、臨床的寛解を維持した。術直後からIFXを開始しなかった14例中7例に2年以内にDBEで潰瘍を認め、同意を得られた6例でIFXを開始した。4例は内視鏡に寛解を得てその後内視鏡的寛解を維持したが、2例は内視鏡的に寛解を得られず、46と50ヶ月で再狭窄のため手術・拡張術を行った。1例はIFXの同意が得られず24ヶ月目に狭窄のため手術となった。結果として手術直後からIFXを行った4例と術後2年以内に内視鏡的に潰瘍を認めた6例の計10例にIFXを使用したが、8例(80%)臨床的寛解を維持し、うち6例は内視鏡的寛解も維持した。2例は狭窄のため46、50ヶ月に手術・拡張術を行った。一方、術後にDBEで潰瘍を認めなかった7例(平均観察期間3.6年)は全例が成分栄養療法(ED)を受け、1例が免疫調節剤(IM)を併用して、内視鏡的・臨床的寛解を維持した。全症例の検討にてDBEで潰瘍を認めた症例は認めなかった症例より有意にESRが高値だった。【結論】小腸切除後は、手術時に病変が残存する難治例や術後2年以内にDBEで潰瘍を認めた症例に対してIFXを行うことで80%の症例が約3.5年間内視鏡的寛解を維持でき、2年以内に潰瘍を認めない症例はEDやIMで寛解が維持できる可能性が示唆され、また小腸潰瘍を有する症例は有意にESRが高値であった。 |
索引用語 |
クローン病, 小腸内視鏡 |