セッション情報 パネルディスカッション19(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

生物学的製剤時代におけるIBDの治療とその選択-粘膜治癒と長期的展望

タイトル 外PD19-12:

クローン病および潰瘍性大腸炎に対するインフリキシマブ投与症例の検討―外科の立場から

演者 松田 圭二(帝京大・外科)
共同演者 石原 聡一郎(帝京大・外科), 渡邉 聡明(帝京大・外科)
抄録 【目的】クローン病症例,特に外科手術症例に対するインフリキシマブ(IFX)の効能を明らかにすることを目的とた.【対象と方法】当科で経験したクローン病58例のうち,IFX投与歴のある20例について臨床学的に検討を加えた. 【結果】男性16例,女性4例,クローン病発症年齢は平均25.7±9.0歳(12~51歳),病型は小腸型3例,大腸型1例,小腸大腸型16例で,肛門病変は16例(80%)にみられた.既往手術は痔瘻手術が8例,回盲部切除が2例,肛門切開排膿が1例,直腸切除1回+結腸切除1回+ストマ造設+ストマ閉鎖が 1例,結腸切除3回+小腸切除2回+虫垂切除が 1例,結腸左半切除+ストマ造設+ストマ閉鎖が1例,結腸全摘が1例,結腸右半切除+ストマ造設+ストマ閉鎖が1例,結腸右半切除+十二指腸部分切除が1例,結腸右半切除+ストマ造設+ストマ閉鎖+シートン2回が1例,手術無しが2例であった. IFX投与期間は平均1年10ヵ月(1ヵ月~5年)であった.IFX維持投与開始後,クローン病悪化による手術症例は無かった.また,手術後にIFX投与した症例のうち,再手術となった症例は無かった.一方,IFX非投与群での累積再手術率は,5年で25%,10年で50%であった.IFX投与前にステロイドが投与されていた症例は10例で,うち9例(90%)でIFX投与後にステロイド減量あるいはステロイド投与中止に至った.副作用は4例(20%)にみられ,アレルギー反応が3例(15%),AST,ALT上昇が1例(5%)であった.自他覚症状で明らかな改善がみられたのが9例(45%)であり,痔瘻治癒・軽快が3例(15%),腹痛改善が2例(10%),肛門痛改善が1例(5%),出血軽減が1例,腸管皮膚瘻改善が1例,粘膜治癒1例であった.IFX投与後の死亡例はなかった.【結語】IFX投与症例は,自他覚所見の改善がみられ,副作用も少なく,フォローアップ期間中にクローン病悪化に対する手術は無く,IFX非投与例と比べて再手術率が低い傾向にあった.
索引用語 クローン病, インフリキシマブ