セッション情報 パネルディスカッション19(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

生物学的製剤時代におけるIBDの治療とその選択-粘膜治癒と長期的展望

タイトル 内PD19-14:

クローン病に対するadalimumabの治療効果

演者 竹島 史直(長崎大病院・消化器内科)
共同演者 山川 正規(長崎市立市民病院・内科), 中尾 一彦(長崎大病院・消化器内科)
抄録 目的:adalimumabはクローン病に対する新たな治療方法として2010年10月より保険承認されている。本剤の欧米クローン病患者における安全性、有効性はすでに多くの研究者により報告されてきているが、本邦患者における検討はこれからの課題と考えられる。今回我々は、長崎大学病院とその関連施設でのクローン病患者におけるadalimumabの短期有効性、安全性について、さらにIFXの投与期間や副作用の有無による有効性の違いを検討した。対象と方法:2010年11月から2011年3月までにadalimumabを導入したクローン病患者24例を対象とした。症例の内訳は、男性17例、女性7例、平均年齢32歳(17-45歳)、平均罹病期間137ヶ月(3-322ヶ月)、病型分類は大腸型2例・小腸大腸型17例・小腸型5例、治療前平均CDAI 181+/-71、治療前平均CRP 1.8+/-1.8、手術歴は15例が有していた。IFX使用歴は19例であり、切り替え理由の内訳は、副作用6例、1次無効1例、2次無効11例であった。IFX未使用例は5例であった。これらの症例に関してadalimumab開始前、2週間後、4週間後、8週間、12週後のCDAI、CRPの経過及び寛解(CDAI<150)導入率を検討した。結果:平均CDAI値は導入2週後115+/-41 (p<0.01)、4週後106+/-42 (p<0.01)、8週後98+/-25 (p=0.01)、12週後110+/-49(p=0.03)であり、いずれも導入前と比べて有意に低下していた。2週後と4週後、8週後及び12週後の比較では有意差は認められなかった。4週後の寛解導入率は67%であった。平均CRP 値は導入2週後0.5+/-0.8 (p<0.01)、4週後0.6+/-0.8 (p=0.02)、8週後0.6+/-0.9 (p<0.01)、12週後0.6+/-0.9 (p<0.01)であり、いずれも導入前と比べて有意に低下していた。有害事象は1例に注射部位に皮疹を認めるのみであった。IFXの投与期間、副作用の有無による効果の違いは認められなかった。結論: Adalimumabは、IFX不応及び未使用クローン病治療に有用と考えられた。
索引用語 クローン病, adalimumab