セッション情報 パネルディスカッション19(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

生物学的製剤時代におけるIBDの治療とその選択-粘膜治癒と長期的展望

タイトル 消PD19-15:

当科におけるAdalimumabによるクローン病治療の検討

演者 鎌田 紀子(大阪市立大・消化器内科)
共同演者 山上 博一(大阪市立大・消化器内科), 渡辺 憲治(大阪市立大・消化器内科)
抄録 【目的】クローン病(CD)に対するAdalimumab(ADA)は、Infliximab(IFX)に次ぐ生物学的製剤として保険収載された。当科でのADAの治療成績を短期効果中心に検討した。【方法】2011年3月末までに当科でADAを投与したCD46例を対象に、全例内視鏡検査施行後にADA投与を行い、Harvey-Bradshaw Index(HBI:寛解4以下)、CRPにて有効性を評価した。【結果】平均年齢は34.7歳(男37:女9)で、病型は大腸型5例、小腸型13例、小腸大腸型28例であった。IFX治療歴無し(N群)12例、IFXからの移行(S群)34例であり、移行の理由はIFX効果減弱(L群)が25例(うち期間短縮22例:IFX 8週毎投与で臨床的寛解維持不可(A群)8例、臨床的寛解だが内視鏡的寛解導入不可12例)、不耐(R群)8例、ADAの利便性が1例であった。ADAの有効性は、HBIによる投与4週後の寛解導入率で、N群83.3%、L群69.2%、R群66.6%であり、N群で高い傾向を認めた。全例におけるADA投与後CRP値は、投与前の0.96mg/dlから2週後0.36mg/dlと2週目から有意(p=0.005)に低下したが、N群、L群、R群での投与4週後のCRP値の低下に有意差を認めなかった。N群とS群間では、投与4週後までの寛解導入率、CRP陰性化率に差を認めなかった。N群におけるアザチオプリン投与6例と非投与6例とのADA投与4週後の有効率に差は認めなかった。また、ADA投与症例は97.8%(45/46)が自己注射に移行することができた。【結論】ADAはIFXの効果減弱例や副作用による不耐例にも約3分の2が短期的に有効で、特に生物学的製剤ナイーブ例では80%以上の高い有効率を認めた。今後、投与開始6カ月時点で全例の内視鏡検査(大腸、小腸)と寛解維持効果の評価を施行し、CD治療におけるADAの位置付けについて、発表時に報告予定である。
索引用語 クローン病, Adalimumab