セッション情報 パネルディスカッション20(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

直腸LSTの診断と治療の最前線

タイトル 内PD20-1:

LSTの臨床病理学的特徴と診断

演者 豊嶋 直也(昭和大横浜市北部病院・消化器センター)
共同演者 工藤 進英(昭和大横浜市北部病院・消化器センター), 池原 伸直(昭和大横浜市北部病院・消化器センター)
抄録 背景と目的側方発育型腫瘍(laterally spreading tumor; LST)は側方発育を主体とする上皮性腫瘍で10mm以上の大きさを示す病変と定義されている.LSTは,腫瘍経が大きいものでも粘膜内病変が多いためその大半が内視鏡治療の適応となる.また,LSTには亜分類があり,各々で病理学的特徴が異なるため,亜分類を加味した上で治療方法を考慮する必要がある.LSTについて臨床病理学的特徴や治療方法の検討は多くされてきたが,その疫学については多くは知られていない.今回はLSTの疫学に加え,直腸LSTと他部位LSTについて臨床病理学的観点から比較検討した.対象と方法2001年4月から2010年12月までに当院で内視鏡的切除を施行されたLSTのうち臨床病理学的評価可能であった927病変を対象とした.LSTの臨床病理学的特徴(性別,年齢,部位,病理)を検討し,亜分類別,直腸病変とその他の部位の病変に分け臨床病理学的特徴について比較検討した. 結果平均年齢は66.1歳であり,男性507症例573病変,女性323症例354病変であった.局在部位は右半結腸560病変(60.4%),左半結腸246病変(26.5%)直腸に121病変(13.1%)であった.全体における担癌率は45.1%,SM癌は12.2%であった.LST-GとLST-NGを比較した結果,年齢(G vs NG : 65.9vs 66.3, P=0.419)に有意な差は認めなかったが,LST-NGは男性に有意に多く[51.7%(215/417) vs 70%(358/511); P<0.001],右半結腸に有意であった(64.6% (330/511); P<0.001).また,LST-Gの局在は直腸に有意に高率であった(21.4% (89/416); P<0.001).直腸とその他の部位における比較では,男女比は有意差がないものの,平均年齢は有意差が認められた(64.4±9.7vs 66.4, P<0.001).SM癌率は直腸LSTにおいて有意に高い結果となった(24.7% (28/93)vs 12.1%(84/697),p<0.001).結語LSTは亜分類ごとに男女比、局在に有意な差を認めた.また直腸LSTは,他部位に比較して若年者に多く認められ,そのSM癌率は有意に高率であった.そのため治療に際し病理学的評価が可能な切除方法が望まれる.
索引用語 直腸LST, SM癌