セッション情報 パネルディスカッション20(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

直腸LSTの診断と治療の最前線

タイトル 内PD20-2:

直腸LSTの臨床学的特徴

演者 宮本 英明(国立がん研究センター東病院・消化管内科)
共同演者 池松 弘朗(国立がん研究センター東病院・消化管内科), 金子 和弘(国立がん研究センター東病院・消化管内科)
抄録 【背景】近年右側結腸癌の頻度が増加する傾向にあるが、現在も直腸は大腸癌の好発部位である。直腸癌は手術の侵襲が大きく、術後のQOLも大きく低下してしまう。そのため、直腸癌は早期病変での発見が重要であるが、微小なadenomaが結腸より少ない傾向にある一方、大きな側方発育型大腸腫瘍(laterally spreading tumor; LST)を経験することが多い。また、直腸LST病変の辺縁に腺管の開大した丈の低い平坦隆起性病変が付随していることがあり、我々はskirt所見と呼んでいる。【目的】直腸LSTの臨床学的特徴を明らかにする。【方法】2006年1月~2010年12月に当院において内視鏡切除を施行したLST 340病変を対象とし、年齢、性別、肉眼形態、サイズ、深達度に関して、直腸と結腸の病変を比較検討した。直腸は上部直腸(Ra)、下部直腸(Rb)の領域と定義した。LSTは顆粒均一型(granular homogeneous type; LST-GH)、顆粒混合型(granular mixed type; LST-GM)、非顆粒型(non-granular type; LST-NG)に分類した。また、skirt所見を有するLST病変の部位別頻度を検討した。【結果】対象病変の内訳は、直腸62病変(LST-GH:11病変、LST-GM:41病変、LST-NG:10病変、サイズ:平均38.5mm(18-100mm)、adenoma: 8病変、M-SM1: 45病変、SM2以深: 9病変)、結腸278病変(LST-GH:75病変、LST-GM:52病変、LST-NG:151病変、サイズ:平均25.8mm(10-95mm)、adenoma: 147病変、M-SM1: 116病変、SM2以深: 15病変)であった。年齢、性別に有意差は認めなかった。直腸LSTは、有意にLST-GMが多く、サイズが大きく、adenomaが少なく、M-SM1が多かった。また、skirt所見は計13病変(3.8%)に認め、そのうち12病変は直腸LST-G(LST-GH: 3病変、LST-GM: 9病変)であった。【結論】直腸LSTは、結腸LSTと比べ肉眼形態、サイズにおいて有意に差を認めた。また、直腸LST-G病変の約20%にskirt所見を認め、発生及び背景粘膜において今後の検討課題であると考えられた。
索引用語 直腸腫瘍, LST