セッション情報 パネルディスカッション20(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

直腸LSTの診断と治療の最前線

タイトル 内PD20-4追1:

直腸LSTの臨床病理学的特徴と治療法選択

演者 蟹江 浩(名古屋第二赤十字病院・消化器内科)
共同演者 野村 智史(名古屋第二赤十字病院・消化器内科), 折戸 悦朗(名古屋第二赤十字病院・消化器内科)
抄録 【目的】直腸LST病変の臨床病理学的特徴を明らかにする。【方法】対象は2009年1月から2010年12月までに内視鏡的または外科的切除を行った腺腫と早期大腸癌1615病変である。1)腫瘍径や肉眼形態、発育形態、病理所見などの所見から、直腸LSTの特徴を解析した。2)直腸LSTに対する治療手技を検討した。LSTは顆粒型(LST-G)と非顆粒型(LST-NG)に亜分類し、さらに顆粒型は顆粒均一型と結節混在型に、非顆粒型は平坦隆起型と偽陥凹型に細分類し検討した。【成績】1)治療手技は内視鏡治療1522病変(polypec362 EMR1061 EPMR49 ESD46)、外科的治療93病変(腹腔鏡補助下71開腹20)であった。局在はRa-Rb164、RS-S629、D139、T366、A243、C74であった。最終病理所見はserrated adenoma23、tubular adenoma1269(内severe dysplasia251)、pM228、pSM95であった。LSTは166病変(10.3%)であり、直腸LSTは42病変であった。LST亜分類別のSM癌率は偽陥凹型で10/19(52.6%)と高かったが、顆粒均一型で1/55(1.8%)、平坦隆起型で2/52(3.8%)と低かった。直腸においてLSTの割合は42/164(25.6%)と他部位と比べ多かった。直腸ではLST-Gの割合が32/42(76%)と高いのに対し、下行結腸・横行結腸では3/12(25%)、8/37(21.6%)と低かった。2)直腸LST42病変の平均腫瘍径は42.2±29.6mmであった。治療手技の内訳はEMR9、EPMR4、ESD23、腹腔鏡補助下4、経肛門2であった。EPMRは10-19mmで1/8、20-29mmで2/4(50%)と腫瘍径が大きくなるにつれて増加した。ESD23例の平均腫瘍径は30.9mmで、すべて一括切除された。【結論】直腸ではLST、特にLST-Gの割合が高い傾向にあった。腫瘍径が大きくても偽陥凹型を除いてSM癌率は低く内視鏡治療を積極的に検討すべきである。
索引用語 直腸, LST