セッション情報 |
パネルディスカッション20(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
直腸LSTの診断と治療の最前線
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タイトル |
内PD20-7追3:当院における直腸LSTの臨床病理学的特徴とその診療ストラテジー
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演者 |
日下 利広(京都桂病院・消化器センター消化器内科) |
共同演者 |
藤井 茂彦(京都桂病院・消化器センター消化器内科), 國立 裕之(京都桂病院・消化器センター消化器内科) |
抄録 |
【目的】当院では大腸腫瘍の術前組織異型度/深達度診断に2005年から色素拡大内視鏡(2008年からはNBI併用)を導入し,また治療面ではESDを2008年から導入した.このような背景の当院における直腸LSTの臨床病理学的特徴とその内視鏡診断,治療についてretrospectiveに解析し,現状の直腸LST診療ストラテジーの妥当性を検討する.【対象】2000年1月から2010年12月までに当院で内視鏡的,外科的に切除された直腸(Ra/Rb)腺腫/早期癌のうち,いわゆるLST(側方発育傾向を有する径10mm以上の病変と定義)と判断された118病変(腺腫41病変,m癌54病変,sm軽度浸潤癌9病変,sm大量浸潤癌14病変)で,その治療内訳はEMR89病変,ESD15病変,EMR(-)外科的切除14病変で,肉眼型内訳は顆粒均一型(G-H)42病変,結節混在型(G-M)50病変,非顆粒平坦型(NG-F)18病変,非顆粒偽陥凹型(NG-PD)8病変であった.【結果】EMR病変中10病変(11%)に局所遺残再発を認めた.再発病変中8病変(80%)は分割切除例で,9病変は再EMR/APCにてコントロール可能であったが,1病変は最終的に経肛門的局所切除術を要した.一方ESD症例は13病変(87%)が一括切除例で,経過観察期間が短いものの現在まで遺残再発例を認めていない.またEMR(-)外科的切除病変中7病変(50%)はm癌で,全例が色素拡大内視鏡未施行例であった.さらにEMR病変中7病変(7.9%)がsm大量浸潤癌で5例に外科的根治術を追加したが,うち4例(57%)が色素拡大内視鏡未施行例であった.一方ESD病変は全例色素拡大内視鏡施行例で,1病変(6.7%)のみがsm大量浸潤癌で外科的根治術を要した.【結論】色素拡大内視鏡を用いたより正確な術前深達度診断と大型病変でも一括切除が可能なESDを組み込んだ直腸LST診療ストラテジーは,より質の高い診療を可能にする. |
索引用語 |
LST, 直腸 |