セッション情報 パネルディスカッション20(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

直腸LSTの診断と治療の最前線

タイトル 内PD20-8追4:

直腸LST病変に対する診断・治療の現況‐内視鏡治療の長期経過観察を含めて‐

演者 福澤 誠克(東京医大病院・消化器内科)
共同演者 河合 隆(東京医大病院・内視鏡センター), 森安 史典(東京医大病院・消化器内科)
抄録 【目的】直腸LSTにおける診断および内視鏡治療の有用性を長期経過観察の検討を含め検証する。【対象と方法】2000年1月から2011年3月までに当院で内視鏡もしくは外科的治療を行ったLST450病変中、直腸LST95病変を対象とした。その中で内視鏡治療後、6ヶ月以上経過観察が可能であった症例の治療法別(EMR/EPMR、ESD)の成績(肉眼型、腫瘍径、治療時間、一括切除率、遺残再発率、偶発症)および長期経過観察例の検討を行った。【結果】直腸LSTの内訳は顆粒型(granular type:LST-G):74例(homogenous type;50, nodular mixed type;24)、非顆粒型(non-granular type:LST-NG):21例(flat elevated type;15, pseudo-depressed type;6)であった。術前深達度診断においてcM-SM1と診断し、内視鏡治療を行ったものは90例で、うち2例のLST-G(nodular mixed type)病変がSM高度浸潤癌であった。また内視鏡治療後、経過観察しえた83例(EMR/EPMR:53、ESD:30)では、EMR/EPMR症例の腫瘍径は平均16.0mm、治療時間は平均20分、一括切除率は45.3%、遺残再発率は7.5%であったが、追加内視鏡治療で対処可能であった。偶発症は認めなかった。ESD症例の腫瘍径は平均32.7mm、治療時間は平均90分、一括切除率は93.3%、偶発症は穿孔を1例認めたが、保存的加療で軽快した。多分割切除となった1例で遺残を認めたが、内視鏡で対処可能であった。【結論】直腸LST病変は大きな腫瘍径であっても、的確な術前診断を行えば内視鏡治療のよい適応病変と考えられる。また治療法としてESDは比較的安全に一括切除が可能な手技であり、遺残再発率も極めて低い。cM-SM1と診断した場合は、腫瘍径に限らず、EMR/EPMRおよびESDを含めた内視鏡治療を検討すべきと考える。
索引用語 LST, ESD