セッション情報 パネルディスカッション20(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

直腸LSTの診断と治療の最前線

タイトル 内PD20-10:

直腸SM癌に対する治療方針

演者 林 武雅(昭和大横浜市北部病院・消化器センター)
共同演者 工藤 進英(昭和大横浜市北部病院・消化器センター), 池原 伸直(昭和大横浜市北部病院・消化器センター)
抄録 【背景】直腸癌SM癌に対する外科的切除はその根治性から標準治療と考えられるが、結腸に比べ縫合不全のリスクが高く、一時的な人工肛門造設をしたほうがリスクは低いが患者への負担は大きい。一方で直腸腫瘍に対する内視鏡治療は穿孔のリスクも低いため多くの施設で積極的に施行され、特にESDによる内視鏡治療が普及し始めてからは、以前なら外科的切除をしていたような巨大なLSTやSM癌が疑われる病変を診断的治療目的で内視鏡切除する症例が増えている。しかしSM癌で深部浸潤もしくは脈管侵襲・簇出が陽性であった場合は追加腸切除が必要となり、内視鏡治療の影響が懸念される【目的】直腸SM癌に対する治療方針を検討した【対象と方法】当院で2001年4月から2010年12月までに当院で治療された直腸SM癌113例の治療成績から適切な治療方法を検討した。【結果】外科的切除を選択したのは49例でその内19例(38.8%)に人工肛門造設をされ、16例閉鎖されている。通常の吻合をされた30例のうち5例(16.7%)に縫合不全を合併した。脈管侵襲・簇出を認めないSM微小浸潤は2例に認めた。手術関連死、遠隔転移(治療から23か月後に肺転移)をそれぞれ1例認めた。内視鏡治療を選択したのは64例で非治癒切除を49例に認め、その内33例追加腸切除となっている。人工肛門造設したのは15例(45.5%)で12例閉鎖されている。縫合不全は18例中3例(16.7%)に認めた。追加腸切除を施行しなかった非治癒切除16例の内、11例に脈管侵襲・簇出を認めた。1例に遠隔転移(治療から7か月後に大動脈周囲リンパ節転移)を認めたがその他に再発は認めていない。【考察】内視鏡治療後の追加腸切除で人工肛門造設、縫合不全に有意差は認めず、内視鏡治療の影響はほとんどないと考えられる。直腸癌の外科手術は縫合不全・人工肛門のリスクが高く、特に術前診断の正診率の低いLSTにおいてはSM癌が疑われた場合でも積極的に内視鏡治療を行うことにより微小浸潤癌の手術施行例を減少させ、深部浸潤癌であったとしても高齢者であれば経過観察も考慮可能となる。
索引用語 直腸癌, ESD