セッション情報 |
パネルディスカッション20(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
直腸LSTの診断と治療の最前線
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タイトル |
内PD20-12:直腸LSTにおけるESDの有用性について
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演者 |
森田 圭紀(神戸大附属病院・消化器内科) |
共同演者 |
豊永 高史(神戸大附属病院・光学医療診療部), 東 健(神戸大附属病院・消化器内科) |
抄録 |
【目的】近年、大腸内視鏡治療はESDの登場により、従来のEMRでは一括切除不可能であった大きな病変や粘膜下層に線維化を有する病変でも治療可能となった。しかしながら、大腸の解剖学的特性から、手技の難易度が高く先進医療としての扱いとなっている。一方、直腸は大腸の中でも、外科手術による侵襲度が大きく、病変部位によっては時に人工肛門を余儀なくされる場合もある。そこで、直腸病変のうち特にLSTを対象とし、ESDの有用性と安全性について検証を行った。【方法】対象は2004年6月から2011年2月までに術前の拡大内視鏡によるPit pattern診断により明らかなSM深部浸潤を認めないと判断し、ESDによる治療を行ったRsを除く直腸LST69病変(LST-G64病変、LST-NG5病変)。術者は2名で行い、FlushKnifeまたはFlushKnife-BT 1.5mm(富士フィルムメディカル)を使用し、スコープは術者の好みでCF240IまたはQ260J(いずれもオリンパス)を選択し、必要に応じて直腸内での反転操作を行った。また、粘膜切開時の局注液にはヒアルロン酸Na溶液を用い、粘膜下層剥離の際には適宜デバイスから生理食塩水の追加局注を行った。 【成績】平均腫瘍径48.8±24.1mm、一括切除率100%、一括完全切除率97%、穿孔率0%、後出血率1.4%であった。亜全周切除症例も2例含まれるが、ステロイド局注等により術後狭窄は回避可能であった。【結論】直腸LSTは比較的大きなものも多く、時に歯状線および内痔核上にも存在する病変に遭遇することもあるが、この部位では、アタッチメント装着により良好な視野を得ることは容易であり、スコープの操作性も良好であるため、比較的容易にESDを行うことが可能であった。また、外科手術による侵襲を回避でき、患者のQOLを保つことが出来る点で、ESDの最も良い適応であると考えられた。 |
索引用語 |
直腸LST, ESD |