セッション情報 パネルディスカッション20(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

直腸LSTの診断と治療の最前線

タイトル 内PD20-15追6:

直腸ESDの優位性-結腸との比較から

演者 笹島 圭太(さいたま赤十字病院・消化器内科)
共同演者 大嶋 隆夫(さいたま赤十字病院・消化器内科), 鎮西 亮(さいたま赤十字病院・消化器内科)
抄録 直腸ESDを結腸ESDとの比較から、困難性を評価する。対象は07.6-11.2で経験された大腸ESD129(結腸89、直腸40)病変。絶対適応:20mm以上のLST-NG、LST-G(結節混在型)、VI軽度不整pit。成績 平均腫瘍径(mm)は32.0:32.4で有意差を認めず、術時間(min)は94.4:71.9で直腸のほうが短い傾向が見られた。一括切除率は95.5%(85/89):97.5%(39/40)、完全一括切除率は93.3%(83/89):97.5%(39/40)で有意差はなく、SM浸潤率は31.5%(28/89):20.0%(8/40)で結腸のほうが浸潤率が高い傾向を示したが、SM深部浸潤率は5.6%(5/89):10.0%(4/40)で直腸のほうが高い傾向であり、背景に手術侵襲の大きさから摘除生検目的の意味合いが推測された。術前診断能ではVI軽度不整病変では、97.3%(71/73):100%(24/24)でM-SM1と正診し、VI高度不整病変のうち25%(1/4):42.9%(3/7)でM-SM1であった。偶発症では、後出血率は0%(0/89):7.5%(3/40)で直腸で多い傾向を示し、穿孔率は1.1%(1/89):0%(0/40)は有意差を認めなかった。背景因子ではLST-NG率は57.3%(51/89):12.5%(5/40)P<0.0001で有意に結腸で多く、LST-G率は25.8%(23/89):57.5%(23/40)P<0.001で有意に直腸で多かった。中等度・高度線維化合併率は43.8%(39/89):2.5%(1/40)P<0.0001で有意に結腸で多く、処置具併用率は27.0%(24/89):0%(0/40)P<0.001で有意に結腸で多かった、反転併用率は46.1%(41/89):97.5%(39/40)P<0.0001で有意に直腸での併用例が多かった。背景因子で直腸では、LST-NGは少なく、LST-Gが多く困難を想定される適応病変は少なかった。線維化合併率も少なく、反転併用も殆どの症例で可能であり、剥離は比較的平易であると推測された。処置具併用もなく、経済的により安価であった。まとめ 直腸ESDは結腸に比較すると、適応病変、操作性、さらに線維化の観点から技術的な困難性は低く、外科手術と比較しても、メリットはより大きいと考えられた。後出血が課題として残った。
索引用語 直腸ESD, 線維化合併率