セッション情報 パネルディスカッション21(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

消化器癌の悪性度・予後における分子診断

タイトル 外PD21-2:

進行食道癌におけるVEGF-C,VEGFR-3発現とリンパ管新生

演者 尾本 至(鹿児島大・腫瘍制御学)
共同演者 松本 正隆(鹿児島大・腫瘍制御学), 夏越 祥次(鹿児島大・腫瘍制御学)
抄録 【背景】近年,リンパ節転移における腫瘍リンパ管新生の重要性が報告され,治療を行ううえでの分子標的として注目されている。リンパ管新生因子であるVEGF-C,VEGFR-3の食道癌における発現と腫瘍リンパ管新生,リンパ節転移,予後との関連について検討した。【対象・方法】術前未治療で外科的切除を行った進行食道癌80例を対象とした。原発巣におけるVEGF-C,そのレセプターであるVEGFR-3発現を免疫組織学的に調べ,またリンパ管の認識マーカーであるD2-40染色を行いMicrolymphatic vessel density(MLVD)を計測した。VEGF-C,VEGFR-3発現とリンパ管新生,臨床病理学的因子との関連について検討した。【結果】食道原発巣におけるVEGF-C,VEGFR-3の陽性例はそれぞれ44例(55.0%),29例(36.3%)で,平均MLVDは27.0±14.5であった。VEGF-C発現はリンパ節転移,リンパ管侵襲と関連し,陽性群は陰性群に比べ予後不良の傾向があった。VEGFR-3発現と関連する因子はなかった。VEGF-C,VEGFR-3ともに発現している群(A群),1つの因子のみ発現している群(B群),ともに発現していない群(C群)に分類し比較検討すると,A群はリンパ節転移,リンパ管侵襲と関連したが(p : 0.021,p : 0.003),3群間で予後の差は認められなかった。VEGF-C発現,特にVEGF-CとVEGFR-3の共発現はリンパ管新生(高MLVD),リンパ節転移と関連していた.【まとめ】進行食道癌におけるVEGF-C,VEGFR-3発現はリンパ節転移と関連し,さらにリンパ節転移過程におけるリンパ管新生の関与が示唆された。
索引用語 esophageal cancer, lymphangiogenesis