| セッション情報 | パネルディスカッション21(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同) 
 消化器癌の悪性度・予後における分子診断 | 
  
    | タイトル | 外PD21-5: 血液中微量癌細胞検出の臨床的意義: 大腸癌における新規循環癌細胞マーカーの臨床的意義について | 
  
    | 演者 | 横堀 武彦(群馬大大学院・病態総合外科学DELIMITER九州大病院別府先進医療センター・外科) | 
  
    | 共同演者 | 桑野 博行(群馬大大学院・病態総合外科学), 森 正樹(大阪大・消化器外科) | 
  
    | 抄録 | 循環癌細胞circulating tumor cells (CTCs)は癌患者の転移、進展に関与するだけでなく、治療効果のマーカーとしても現在注目されている。現行のCTCs検出には主にepithelial cell adhesion molecule (EpCAM)やcytokeratinに対する抗体が使用されているが、この検出アプローチは癌細胞の転移、進展に重要と考えられているepithelial-mesenchymal transition (EMT)誘導癌細胞においては発現が抑制される可能性がある。EMT誘導癌細胞は上皮マーカー発現が抑制され、間葉マーカー発現が亢進し浸潤能、遊走能が亢進することが知られている。本研究の目的は現行のCTCマーカーを凌駕する新規CTCマーカーを発見し大腸癌患者由来の血液検体での臨床的意義を明らかにすることである。まず、本研究ではmicroarrayを用いて転移性大腸癌で高発現、かつ末梢血中にほとんど発現しないiEMTを新規CTC検出マーカーとして同定した。次に実際の大腸癌患者由来のCTCでiEMTが発現しているかを検索するために、採取したCTCのEpCAM, cytokeratin, vimentin, iEMT蛍光細胞免疫染色を施行した。その結果、EpCAMやcytokeratin発現が抑制されたCTCであってもiEMTを発現していることが確認できた。最後に大腸癌711症例の末梢血中でのiEMT発現意義を調べた結果、血液中のPLS3陽性CTCを検出した症例は有意に生存期間、無再発生存期間が短縮することが明らかとなった。特に有効な予後、再発マーカーのないDukes B大腸癌患者においては既存の臨床病理学的因子を凌駕する予後、再発マーカーとなることが明らかとなった。iEMTは進行再発に重要なEMT誘導CTCを検出する新規CTCマーカーであり、特に有効な予後再発マーカーのないDukesB大腸癌においても有望な予後因子であった。 | 
  
    | 索引用語 | 大腸癌, 循環癌細胞 |