セッション情報 |
シンポジウム16(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)
胆膵疾患に対するtherapeutic EUSの現状(EUS-FNA を除く)
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タイトル |
内S16-1:EUSガイド下膵仮性嚢胞ドレナージの検討
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演者 |
黒澤 浄(千葉大・消化器内科) |
共同演者 |
石原 武(千葉大・消化器内科), 横須賀 收(千葉大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】EUSガイド下膵仮性嚢胞ドレナージ(EUS-CD)の成績について検討する。【方法】対象は1999年9月から2012年2月までにEUS-CDを施行した75例85病変(50.3±16.6歳、男性57例、女性18例)。適応は有症状例、嚢胞径60mm以上で6週間以上経過した例、急速増大例である。ドレナージ法は内外瘻を基本とし、感染所見が乏しい例には内瘻のみ、複数本留置が困難な例には外瘻のみも選択した。ドレナージチューブは嚢胞消失後に抜去とするが、内瘻は6か月を目安に一定期間留置した。【成績】嚢胞径は平均90.5±43.6mm。成因は急性膵炎35例、慢性膵炎34例、外傷性4例、膵癌2例。手技成功は95.3%(81/85)で、穿刺吸引8回、内瘻25回、外瘻11回、内外瘻37回。短期縮小効果は全体で87.7%、ドレナージ別で穿刺吸引50%(4/8)、内瘻84%(21/25)、外瘻100%(11/11)、内外瘻94.6%(35/37)。偶発症は14例(16.5%)に認めた。早期偶発症として嚢胞内感染5例、出血2例、内瘻ステント迷入2例、限局性腹膜炎1例、他臓器穿刺1例、縦隔気腫1例、後期偶発症として内瘻閉塞による膵炎1例、胃石形成1例を認めたがいずれも内科治療で対処し得た。嚢胞非縮小10例のうち、2例は経過観察、8例は追加治療(経乳頭ドレナージ2例、外瘻追加3例(内瘻のみでの感染増悪例)、手術2例、内視鏡的ネクロセクトミー1例)を行った。ドレナージ施行後の平均観察期間は887日(37-3922日)で、留置期間中央値は内瘻169日(50-1367日)、外瘻27日(17-72日)、内外瘻(うち内瘻留置期間)178日(21-876日)。嚢胞再燃を10例(12.3%)に認め、5例は穿刺吸引例で治療後早期に再発し、5例(内瘻2例、内外瘻2例、外瘻1例)はドレナージチューブ抜去後に認めた。ドレナージ留置期間と嚢胞再燃に有意な関連はなかったが、再燃はいずれも慢性膵炎症例であった。2例にESWL、2例に経乳頭ドレナージを行い嚢胞は縮小した。6例は無症状で経過している。【結論】EUS-CDは手技成功率が高く、ドレナージ留置による治療効果は良好であった。嚢胞再燃は慢性膵炎例で認められ、成因を考慮した経過観察が必要と考えられた。 |
索引用語 |
膵仮性嚢胞, EUS-CD |