セッション情報 パネルディスカッション21(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

消化器癌の悪性度・予後における分子診断

タイトル 外PD21-12:

大腸癌と食道癌の遺伝子多型の臨床的意義

演者 三森 功士(九州大病院別府先進医療センター・外科)
共同演者 田中 文明(九州大病院別府先進医療センター・外科), 柴田 浩平(九州大病院別府先進医療センター・外科)
抄録 大腸癌および食道癌の発生、進展に関わる生活習慣および遺伝子多型を解析し、両者の発癌機構の違いを明らかにしたい。1)大腸癌:全国9機関の研究協力体制を確立し、アンケート、血液サンプル(全3609例:症例群1511例、対照群2098例)を集積。解析を実施した。全ゲノム相関解析による大腸癌発症関連遺伝子多型の探索を行いスクリーニング(GWAS)を実施した結果10p14に4つの多型を同定した。このうち最も有意であったgenotypeはアリル頻度差6%、オッズ比1.27(1.16-1.39)、p値は9.31E-08であった。また大腸がんの症例対照研究の結果、高頻度肉食、20歳時BMI、糖尿病が危険因子。ツナ食、ビタミン剤内服が防御因子であった。10p14危険多型と糖尿病との有意な交互作用(2倍, p<0.01)を明らかにした。一方、既知の多型8q24についても、上記邦人症例においてオッズ比1.16倍(1.06-1.27)、p値0.0015と有意な大腸発癌関連多型であることを証明し、同多型は予後因子となりうることを示した。また8q24非危険多型集団は糖尿病により有意に発癌リスクが高まることを示した。2)食道癌:食道癌の生活習慣アンケートおよび多型解析用の血液を(全例2200例:症例群1100例、対照群1100例)を集積した。多型解析の結果、アルコール代謝に重要な役割を果たすADH1B, ALDH2遺伝子多型がそれぞれオッズ比4.08, P 値4.4E-40 、オッズ比4.13, P値10E-76 と食道癌患者と健常者の間に著しい差を示した。これらが飲酒と関係する遺伝子であること、また喫煙が食道癌発症に関与するために、これらの遺伝子多型と飲酒・喫煙との交互作用を検討した。その結果、これら4つの因子を全て有する場合、全く有しないヒトと比較して、食道癌発症の危険率は146倍高いことを示した。 以上の様に食道癌では生活習慣および遺伝子多型が危険因子は非危険因子に比べて100倍以上大きな示した一方で、大腸癌は多型あるいは疫学因子における危険因子がそれぞれ2倍未満であり、大腸発癌が多因子疾患であることを改めて大規模症例研究で明らかにした。
索引用語 遺伝子多型, 危険率