セッション情報 パネルディスカッション22(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

上部消化管出血に対する緊急内視鏡の現状

タイトル 内PD22-4追2:

緊急内視鏡における経鼻内視鏡の実行可能性

演者 森 昭裕(一宮西病院・消化器内科)
共同演者 大橋 憲嗣(一宮西病院・消化器内科), 野嵜 昌(一宮西病院・消化器内科)
抄録 【目的】経鼻内視鏡(経鼻)は非鎮静下でも循環動態が安定し心血管系機能に与える負担が少ないと報告される。このことから緊急内視鏡(緊急)に経鼻を用いることはその安全性から有用と考えられるが、吸引、処置能力の限界から一般的に適応外とされる。今回緊急における経鼻の診断能力、経鼻による緊急止血術の実行性と安全性を検討した。【方法】上部消化管出血(疑い例含む)発症24時間以内に施行した内視鏡検査を緊急とし2009年6月~2011年1月まで連続的前向きに検討した。原則として初回観察は非鎮静下経鼻で行い、止血術は可能なら非鎮静下経鼻(局注法)で困難なら通常径経口内視鏡(経口)(局注法、クリップ法、高周波凝固法)に変更し施行。経鼻による出血部位診断能、緊急止血術における循環動態変化(収縮期血圧(sBP)、脈拍、SpO2の前値からの差)で実行可能性、安全性を評価した。【成績】緊急170例で経鼻による初回観察は164例(96%)(消化性潰瘍63例、逆流性食道炎28例、AGML19例、MW症候群7例、胃腫瘍性病変7例、食道静脈瘤5例、他4例、喀血4例、出血なし26例、出血部位不明1例)であった。止血術は43例で経口による止血は18例(経口のみ5例、経鼻観察後経口10例、経鼻で一次止血後経口3例)、経鼻のみによる止血は25例施行。再出血は経口で1例(6%)、経鼻で1例(4%)であった。経鼻止血術における循環動態変化(M±SD)(処置中、処置後)はsBPで9±32、20±24mmHg、脈拍で-4±11、3±17/分、SpO2で-0.3±2.6、2.3±6%と軽微であった。重篤な偶発症なし。【結論】緊急において経鼻は非鎮静下に嘔吐反射などによる病態悪化を最小限に抑えつつ安全に正確な情報を収集し一部止血術も安全に施行可能である。経鼻は緊急のファーストルックとして実行可能である。
索引用語 経鼻内視鏡, 緊急内視鏡