セッション情報 |
シンポジウム16(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)
胆膵疾患に対するtherapeutic EUSの現状(EUS-FNA を除く)
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タイトル |
内S16-2:Peripanceratic fluid collectionに対するEUSガイド下治療の現状
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演者 |
岩田 圭介(岐阜県総合医療センター・消化器内科) |
共同演者 |
安田 一朗(岐阜大・1内科), 向井 強(岐阜市民病院・消化器内科) |
抄録 |
近年、Peripanceratic fluid collection(以下PFC)に対するEUSガイド下ドレナージ手技が開発され、低侵襲で高い治療成功率が報告されている。さらに、ドレナージのみでは従来治療困難であった感染性膵壊死に対して直接嚢胞腔に内視鏡を挿入し壊死物質を除去するendoscopic necrosectomy (以下EN)の有用性も最近報告されている。【目的】PFCに対するEUSガイド下治療の成績を評価する。【対象】2001年5月~2012年2月までにEUSガイド下治療を施行したPFC40例。【方法】背景因子、治療成績、予後をretrospectiveに調査した。【結果】平均年齢58歳、男性33例/女性7例。PFCの内訳(Atlanta分類):仮性嚢胞(感染なし)16例、膵膿瘍16例、感染性膵壊死8例。成因:急性膵炎後11例/アルコール性慢性膵炎15例/特発性慢性膵炎14例/術後6例/外傷性1例。治療成績:EUSガイド下ドレナージ手技成功38例(95%)、残り2例(いずれも膵膿瘍)は穿刺ルートの拡張ができず経皮的ドレナージへ移行。ドレナージ成功38例中36例(95%)が治癒、仮性動脈瘤破裂で手術1例(膵膿瘍)、EN行うも効果不十分のため手術1例(感染性膵壊死)。手技の内訳:外瘻のみ14例/内外瘻24例(感染性膵壊死8例には全例内視鏡的EN併用)。最終的な治療成功率は、仮性嚢胞100%(16/16例)、膵膿瘍81%(13/16例)、感染性膵壊死88%(7/8例)。外瘻のみで治癒が得られた症例は、仮性嚢胞9/16例(56%)、膵膿瘍4/16例(25%)、感染性膵壊死0/8例(0%)。偶発症:瘻孔部出血1例(仮性嚢胞)、穿孔性腹膜炎1例(感染性膵壊死)、いずれも保存的治療で軽快。治療成功例の入院期間中央値: 仮性嚢胞27日/膵膿瘍21日/感染性膵壊死63日。再発:仮性嚢胞3例/膵膿瘍2例/感染性膵壊死0例。【結論】PFCに対するEUSガイド下治療は有効であり、仮性嚢胞は外瘻のみでも半数以上が治癒、膵膿瘍も内外瘻併用によりほとんどの症例で治療できる。感染性膵壊死では最初からENを考慮すべきであり、これにより高い治療成功率が期待できる。 |
索引用語 |
Peripanceratic fluid collection, EUSガイド下ドレナージ |