セッション情報 パネルディスカッション22(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

上部消化管出血に対する緊急内視鏡の現状

タイトル 消PD22-7:

上部消化管非静脈瘤出血に対する緊急内視鏡の現状

演者 井上 義博(岩手医大・救急医学)
共同演者 藤野 靖久(岩手医大・救急医学), 小野寺 誠(岩手医大・救急医学)
抄録 <目的>上部消化管非静脈瘤性出血の動向を探る。<対象>1987年から2010年まで当施設で経験した上部消化管非静脈瘤出血2595例。内訳は胃潰瘍1125例、十二指腸潰瘍470例、Mallory-Weiss Syndrome(以下MWS)279例、食道出血265例、出血性胃炎208例、悪性腫瘍92例、吻合部潰瘍67例、医原性出血50例などであった。当施設の内視鏡止血は殆どがヒータープローブによる熱凝固止血である。<結果>この内内視鏡止血施行例は胃潰瘍1001例、89.0%、十二指腸潰瘍420例、89.4%、MWS115例、41.2%、吻合部潰瘍58例、86.6%、医原性出血46例、92%、悪性腫瘍36例、39.1%などであった。潰瘍出血の止血率、再出血率、手術やIVRへの移行率、死亡率は胃潰瘍が99.7%、6.8%、0.3%、1.9%、十二指腸潰瘍が94.3%、7.4%、5.7%、4.0%であった。また当施設では2005年から胃・十二指腸出血の内視鏡止血症例に対し、クリニカルパスを導入している。2006年から2010年までの5年間に内視鏡止血を行った、入院5日以上のクリニカルパス施行症例、非施行症例は胃潰瘍50例、36例、十二指腸潰瘍は20例、12例であった。それぞれの入院日数、保険点数を比較すると、胃潰瘍では5~21日(平均8.5日)と5~46日(平11.5日)、23229~114720点(平均51471点)と23498~243390点(平均91016点)で、十二指腸潰瘍では5~19日(平均7.9日)と7~50日(平均18.1日)、24601~169760点(平均56495点)と34538~281604点(平均148620点)であり、胃、十二指腸ともクリニカルパス症例が入院期間が短く、保険点数が低い傾向にあった。<まとめ>当科で経験した非静脈瘤性上部消化管出血は潰瘍出血が556.3%を占め、止血症例では82.8%を占めていた。潰瘍の止血率は98.1%で、胃潰瘍では内視鏡止血のみで完遂できたが、十二指腸潰瘍では少ないながら内視鏡以外の治療に移行する例が見られた。クリニカルパス症例はそうでない症例に対し、入院期間、保険点数共に少ない傾向にあった。
索引用語 上部消化管, 内視鏡止血