セッション情報 パネルディスカッション22(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

上部消化管出血に対する緊急内視鏡の現状

タイトル 内PD22-8:

佐賀県における出血性胃潰瘍に対する内視鏡的止血術の現状

演者 下田 良(佐賀大附属病院・光学医療診療部)
共同演者 緒方 伸一(佐賀県立病院好生館・消化器内科), 藤本 一眞(佐賀大・消化器内科)
抄録 【目的】佐賀県における当科関連施設9施設において2008年1月1日より2010年12月31日の3年間に内視鏡的止血術を施行した441例の出血性胃潰瘍症例を対象に,患者背景・内視鏡的止血法の選択を中心に検討を行う。【方法】対象の内訳は男性305名,女性136名。平均年齢は69.2±13.8(29‐102)歳。H.pylori(以下HP)感染の有無が判明している379例に限定し,HP感染の有無,低用量アスピリンを含めたNSAIDs内服歴の有無に関して群別すると,A群(HP陽性,NSAIDs内服なし)が208例(54.9%),B群(HP陽性,NSAIDs内服あり)90例(24.3%),C群(HP陰性,NSAIDs内服あり)41名(12.4%),D群(HP陰性、NSAID内服なし)が32名(8.4%)であった。【成績】内視鏡的止血術としてはソフト凝固法による止血が最多で243例(55.1%)。クリップ法が83例(18.8%),アルゴンプラズマ凝固法が26例(5.9%),エタノール局注法は25例(5.7%)であった。各止血術の併用症例ではクリップ+エタノール局注法の併用が最も多く23例(5.2%),ソフト凝固法+クリップ法が9例(2.0%)であった。全体の一次止血率は98.2%であり,一次止血後の再出血を29例(6.6%)に認めた。各止血法における再出血率に有意な差は認めなかった。止血困難例にてIVRによる止血を行った症例は2例,止血目的の開腹手術を行った症例は1例であった。初回止血術より1ヶ月以内の死亡例を7例認め,うち出血が直接的死因となったと予想される症例は2例(0.45%)であった。【結語】出血性胃潰瘍の止血における内視鏡的止血術はクリップ法が中心であったが,近年ソフト凝固法による止血術が増加している。今回佐賀県における出血性胃潰瘍に対する内視鏡的止血術の現状を示し,当院における過去のデータも併せて,内視鏡的止血法の選択を中心に検討を行った。
索引用語 出血性胃潰瘍, 止血術