セッション情報 |
パネルディスカッション22(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
上部消化管出血に対する緊急内視鏡の現状
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タイトル |
内PD22-9追3:出血性胃潰瘍におけるソフト凝固止血法の有用性と問題点
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演者 |
木村 茂(広島市立安佐市民病院・内科) |
共同演者 |
永田 信二(広島市立安佐市民病院・内視鏡科), 大越 裕章(広島市立安佐市民病院・内視鏡科) |
抄録 |
【はじめに】ソフト凝固止血法はESDの止血法として広まり、出血性胃潰瘍の止血法として施行する報告もみられる。【目的】出血性胃潰瘍におけるソフト凝固止血法の有用性と問題点についてクリップ法と比較検討する。【対象と方法】対象は、2010年10月までに当院にて緊急上部消化管内視鏡検査を施行した出血性胃潰瘍397例中、ソフト凝固止血法で内視鏡的止血術を施行したソフト凝固群80例(男性62例、女性18例、平均年齢65.6±13.1歳)と比較対象としてクリップ法による止血術を行なったクリップ群110例(男性85例、女性25例、平均年齢64.3±13.5歳)とした。これらを用いて各群の止血効果及び経過について検討を行なった。【結果】Forrest分類はソフト凝固群Ia 31.2%(25/80) Ib 28.8%(23/80) IIa 36.0%(29/80) IIb 4.0%(3/80)、クリップ群Ia 3.6%(4/110) Ib 5.0%(22/110) IIa 74.6%(82/110) IIb 1.8%(2/110)であり、ソフト凝固群でIa、Ibが多かった。局注法の併用は、ソフト凝固群23.8%(19/80)、クリップ群83.6%(92/110)で、ソフト凝固群で有意に少なかった(p<0.01)。再出血率はソフト凝固群6.3%(5/80)、クリップ群7.3%(8/110)であった。絶食期間, 入院期間はソフト凝固群2.3±0.9日, 10.8±8.6日、クリップ群3.8±3.0日, 12.1±5.3日であり、ソフト凝固群でともに有意に短かった(p<0.01)。また、内視鏡的最終止血率はソフト凝固群100%(80/80)、クリップ群99.1%(109/110)で、クリップ群で内視鏡的止血困難で外科手術にいたった症例を1例に認めた。いずれの方法においても、穿孔などの偶発症は1例も認めなかったが、ソフト凝固止血群では、潰瘍性病変止血術後2カ月以内に急速な腫瘍の増大を認めた胃癌が2例(いずれもv因子陽性)みられた。【結語】ソフト凝固止血法は、出血性胃潰瘍に対する止血術として、クリップと同等以上の有効性があると考えられた。しかし、悪性腫瘍の場合、内視鏡的止血後に腫瘍が急速に増大する症例が存在し、今後の課題と考えられた。 |
索引用語 |
出血性胃潰瘍, 止血術 |