セッション情報 |
パネルディスカッション22(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
上部消化管出血に対する緊急内視鏡の現状
|
タイトル |
内PD22-10:出血性消化性潰瘍における内視鏡的止血不能例の検討-TAEの有用性とあわせて
|
演者 |
片野 敬仁(春日井市民病院・消化器科) |
共同演者 |
祖父江 聡(春日井市民病院・消化器科), 高田 博樹(春日井市民病院・消化器科) |
抄録 |
【目的】出血性消化性潰瘍における内視鏡的止血の現状を明らかにし、内視鏡的止血不能例の背景因子を明らかにすることを目的とした。また止血不能例に対しては経動脈的塞栓術(TAE)を第1選択とし、その有用性についても検討した。【方法】2004年4月から2010年12月までに吐下血で当院救急外来を受診し、出血性消化性潰瘍と診断され内視鏡的止血術を施行した上で入院となった554例(胃潰瘍397例、十二指腸潰瘍157例)を対象とした。止血には各種止血法を単独または併用して行った。初回出血時の重症度判定に、Rockallらのscoring systemを用いた。内視鏡的止血不能因子の検討に、年齢、来院時のRockall score、Hb値、抗血栓薬の有無、NSAIDの有無、ステロイドの有無、初回止血術施行時の出血様式(Forrest分類)、喫煙、飲酒について多変量解析を行った。内視鏡的止血不能例に対してはTAE、手術を施行した。【成績】内視鏡的止血率は胃潰瘍で95.9%、十二指腸潰瘍で96.8%であった。内視鏡的止血不能であったのは21例(胃潰瘍16例、十二指腸潰瘍5例)であり、うち死亡例は4例であった。TAEに移行した15例のうち14例で止血が得られ、1例が塞栓不十分のため手術に至った。穿孔をみとめたために手術を選択した2例とあわせて3例に外科的手術を行った。内視鏡的止血不能因子の検討では来院時のRockall score 7以上(P<0.01)、Hb8.0mg/dl未満(p<0.01)、Forrest Ib以上(P<0.001)が多変量解析にて有意な因子であった。【結論】来院時のRockall score 7以上、Hb8.0mg/dl未満、出血様式Forrest Ib以上の症例は内視鏡的止血不能となる因子を満たすものとして特に慎重な対応が必要とされる。当院の症例では1例を除きTAEにて永久止血が得られており、内視鏡的止血困難例に対してはTAEが有用であると考えられた。 |
索引用語 |
出血性消化性潰瘍, 内視鏡的止血 |