セッション情報 パネルディスカッション22(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

上部消化管出血に対する緊急内視鏡の現状

タイトル 内PD22-12追4:

出血性消化性潰瘍において抗血栓薬はリスクファクターとなっているのか?-他施設後ろ向き調査からの検討と今後の課題-

演者 坂本 淳(札幌東徳洲会病院・消化器内科)
共同演者 太田 智之(札幌東徳洲会病院・消化器内科), 加藤 元嗣(北海道大病院・光学医療診療部)
抄録 【目的】消化性潰瘍ガイドラインでは出血性消化性潰瘍(HPU)において抗血栓薬の休薬と再開についての記載はない。今回HPUについて多施設後ろ向き調査を行い、内視鏡止血や抗血栓薬の休薬・再開について検討した。【方法】Sapporo GI Study Team(SGIST)への参加5施設(札幌東徳洲会病院、北海道大学病院、札幌北楡病院、恵佑会札幌病院、KKR札幌医療センター)において、2008年1月から2011年2月の期間にHPUで緊急内視鏡が施行された症例を対象とし、抗血栓薬服用群と非服用群にわけて群背景因子、止血成績などを調査した。【結果】485例(M/F:346/139、平均66.9歳)が登録された。以下に抗血栓薬服用群と非服用群にわけて結果を示す(’服用群’vs’非服用群’)。なお今回検討した抗血栓薬とはアスピリン、チクロピジン、クロピドグレル、シロスタゾール、ワルファリンである。平均年齢は73.9歳vs64.1歳、初診時平均収縮期血圧 (mmHg)は119 vs 123、ヘモグロビン(g/dl)は9.0 vs 9.5と差はなかったがForrest分類の割合はIa 28%/13%、Ib 26%/19%、IIa 40%/49%と服用群に活動性出血の頻度が高かった。再出血は2.3日後vs3.5日後に起こり有意差は認めなかったが再出血率は7.2%vs20.8%であり服用群のほうが再出血率は低かった。しかし抗血栓薬の服用再開時期は1-55日後(平均9.7日、中央値7.5日)と症例間でばらつきが多く、現時点では医師個々の判断で服用再開が行われていた。【結語】抗血栓薬服用でも再出血率は低く、HPUでは早期に抗血栓薬内服を再開できる可能性が示唆された。抗血栓薬の休薬・再開についてエビデンスを構築し今後の見直しが必要である。
索引用語 出血性消化性潰瘍, 抗血栓薬