セッション情報 パネルディスカッション23(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

併存疾患を有する消化器癌の治療方針と術前・術後管理における注意点

タイトル 外PD23-1:

結腸癌に対する術前リスクからみた手術方法の検討 (E-PASS scoring systemの評価を含めて)

演者 小島 康知(広島市民病院・外科)
共同演者 原野 雅生(広島市民病院・外科), 大野 聡(広島市民病院・外科)
抄録 高リスク症例に対しても安全に手術が可能となり,適応が拡大してきている.しかし患者の生理機能を超える過大な侵襲が加わると,生体内の恒常性が破綻し,さまざまな合併症が生じると考えられる。術前リスクをE-PASS scoring systemの術前リスクスコアにて評価し結腸癌に対する腹腔鏡手術と開腹術、それぞれを高リスクと低リスクに分類検討.対象:2007年1月から09年12月までの大腸癌症例479例中盲腸から直腸S状部(RS)までの単発切除症例330例を,術前のリスクスコア(330例のPRSの平均が0.421であり,これ以上を高リスク,これ未満を低リスクと分類)術前のリスク評価はE-PASS scoring systemのPRS(preoperative risk score)を使用.PRSは年齢,重症心疾患,重症肺疾患,糖尿病の有無,PS, ASA class分類の6項目からなり患者の術前生理機能を表す.結果:腹腔鏡群は107例で,低リスクのL-L群(65例)高リスクのL-H群(42例),開腹群は223例でO-L群(120例)O-H群(103例).以下L-L/L-H/O-L/O-Hの順に示す.(結果は中央値)年齢62/78/61/74,手術時間(分)243/234/194/169,出血量(g)20/48/80/60,BMI:22.4/21.3/22.0/22.9,PS 0/1/2/3/4,L-L:61/4/0/0/0,L-H:7/18/11/6/0,O-L:108/12/0/0/0,O-H:20/54/14/10/5,ASA 1/2/3,L-L:31/33/1, L-H:1/27/14,O-L:54/64/2,O-H:3/74/26,郭清度D1/2/3,L-L:1/25/39,L-H:1/20/21,O-L:2/14/104,O-H:9/25/69,術後在院日数:12/13/13/14,術後合併症8例(12%)/5例(12%)/27例(22.5%)/41例(39%). E-PASS scoring systemのよる検討では術前のリスク因子PRSはL-L/L-H/O-L/O-Hの順に0.257/0.614/0.265/0.524,SSS(surgical stress score)は-0.171/-0.178/0.158/0.147であり,これらより算出されるCRS(comprehensive risk score)-0.254/0.076/0.081/0.351であった.まとめ:結腸癌に対して腹腔鏡手術は高リスク症例にともなう不利な状況を緩和する可能性があると思われ,E-PASS scoring systemによる評価でもそれを裏付ける結果となった
索引用語 結腸癌, リスク分類