セッション情報 シンポジウム16(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

胆膵疾患に対するtherapeutic EUSの現状(EUS-FNA を除く)

タイトル 内S16-4追:

当院における感染性膵壊死に対するInterventional EUSの検討

演者 奥脇 興介(北里大東病院・消化器内科)
共同演者 木田 光広(北里大東病院・消化器内科), 小泉 和三郎(北里大東病院・消化器内科)
抄録 【目的】近年膵炎後の感染性膵壊死に対し,壊死巣内へ直接内視鏡を挿入する壊死巣除去術(Endoscopic Necrosectomy;EN)が行われている.当院における本手技の有用性を検討した.
【対象】2008年2月から当院でEUS-Guided Endoscopic Transgastric Necrosectomyを試行した9例(男性6例,女性3例,平均年齢57.2歳).
【方法】患者背景,手技の実際,治療成績,偶発症等をretrospectiveに検討した.
【結果】膵炎の成因はアルコール/胆石/膵管癒合不全/胆管腫瘍/特発性=3/2/1/1/2例.膵炎発症から初回ENまでの平均期間は102日,壊死領域は頭体部/体尾部/尾部/全体=1/3/1/4例,平均膿瘍腔径189mmであった.当院では一般にEUSガイド下に胃壁から膿瘍内に19G針で穿刺後,ガイドワイヤーを2本挿入し,7FrERBD stent及び側孔を追加したENBDstentを留置して内/外瘻化する.数日後20mm径の消化管拡張用バルーンで瘻孔部を拡張し,内視鏡を直接壊死巣内に挿入,十分量の生理食塩水での洗浄と,5爪鉗子で壊死物質の除去を行う.EN試行時は肺塞栓予防の為CO2送気装置を使用する.EN後は内瘻ステントを再留置し,壊死物質が消失するまで繰り返し行う.胃壁と連続性がない場合や壊死巣が分断された際には経皮内視鏡下ドレナージを併用する.1回のENの平均治療時間は54分で,平均7.8回(2-17回)のENを行い,全例で膿瘍腔の縮小が得られた.3例で経皮内視鏡下ドレナージを併用した.平均入院期間は83日(33-187日)であった.観察期間中央値は6.4ヶ月(1.5-47.8ヶ月)で,これまでに5例で膿瘍腔の完全消失を確認した.消失までの平均観察期間は89日(44-171日)であった.1例で仮性膵嚢胞の再発を約1年後に認めた.手技に伴う偶発症としては,3例で出血(嚢胞内・瘻孔部)を認めた.
【結語】EUS-Guided Endoscopic Transgastric Necrosectomyにより全例で膿瘍腔縮小による臨床的効果が得られ,これまでに約半数例が完全消失した.外科的処置の前に試みられるべき有用で比較的安全な手技であり,標準的手技の確立と専用処置具の開発が望まれる.
索引用語 EUS-FNA, Endoscopic Necrosectomy