セッション情報 |
パネルディスカッション23(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)
併存疾患を有する消化器癌の治療方針と術前・術後管理における注意点
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タイトル |
外PD23-12:精神疾患患者に対する消化器癌手術の術前術後管理
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演者 |
畑中 信良(国立呉医療センター・外科) |
共同演者 |
吉川 幸伸(国立呉医療センター・外科), 上池 渉(国立呉医療センター・外科) |
抄録 |
精神疾患患者が手術を必要とする疾患に羅患する率は健常人と同等であると思われ、今後の高齢化社会を反映してその絶対数は増加すると考えられる。当院は精神科病床を有する総合病院であり、身体疾患を有する精神障害患者も積極的に受け入れているので、精神疾患合併患者手術における、周術期管理上の問題点について検討した。[対象]2001年から2008年までに精神疾患患者に対して消化器癌手術を施行した33例(32名、重複あり)。今回の検討においては手術に際して精神病棟への入院が必要と精神科医が判断したものを対象とした。男性20例、女性13例で、年齢は44-85歳、平均67.3歳であった。精神疾患の内訳は、統合失調症13例、うつ病9例などで、身体疾患は胃癌11例、大腸癌13例などであった。[周術期管理]精神科管理下に抗精神病薬は手術前日まで減量することなく投与した。投与薬剤は初期にはブチロフェノン系、フェノチアジン系などが多くを占めていたが、最近は非定型抗精神病薬の使用が増加しつつある。術後の絶食中に精神症状の強い場合はハロペリドール、クロルプロマジンなどを静注した。[合併症]術中低血圧3例、覚醒遅延が5例。術後には、妄想、徘徊などの異常行動が15例にみられ、胃管、点滴、尿道バルーン抜去などのアクシデントを伴った。術後腸閉塞が高率にみられた。[考察]1.疎通性の低下(治療に非協力的、診断の遅延)はみられなかった。2.腸閉塞が多い傾向にあるのは抗精神病薬の副作用として抗コリン作用による腸管麻痺の関与は考えられうる。非定型抗精神病薬への変換により、改善が期待されうる。3.術後の異常行動に対しては、精神科医の密接な協力の下に、適切な薬剤の使用が必要である。4.もっとも大きな問題点はインフォームドコンセントを得ることである。手術の説明は本来は本人に行うべきであるが、家人、保護者に行われていることが多い。説明に際して精神科医の同席、協力をお願いし、できる限り本人の納得を得るように努めている。 |
索引用語 |
消化器癌, 精神疾患 |