セッション情報 ワークショップ1(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会・消化器がん検診学会合同)

肝細胞癌の診断および治療の工夫

タイトル 肝W1-4:

肝細胞癌局所治療術前検査としてCTHA/CTAPを施行することが無再発生存期間を延長するかどうかのランダム化比較試験

演者 建石 良介(東京大附属病院・消化器内科)
共同演者 椎名 秀一朗(東京大附属病院・消化器内科), 小池 和彦(東京大附属病院・消化器内科)
抄録 【目的】ラジオ波焼灼療法(RFA)の適応と判断された古典的肝細胞癌(HCC)症例に対して、術前検査としてCTHA/CTAPを行うことが有用であるかどうか検討する。【方法】ダイナミックCT(d-CT)で2004年9月から 2009年2月までに、最大径3.0cm以下、または3個以内のHCCと診断されたChild-Pugh Aの患者を登録した。対象患者は、外来診察時に術前CTHA/CTAPを施行群(A群140例)、術前CTHA/CTAP非施行群(B群140例)の2群にランダムに振り分けられた。A群はCTHA/CTAPで新たに診断された病変も含め、B群はd-CTで認められたHCCをすべて焼灼する方針とした。主要評価項目は無再発生存、副次評価項目は全生存、CTHA/CTAP検出病病変とした。無再発生存に寄与する因子に関して多変量解析を用いて検討した。【結果】患者背景、各種血液検査データ、腫瘍因子についは両群に有意差を認めなかった。d-CTによる両群のHCCの総数は、A群:197個、B 群:196個であった。A群においてCTHA/CTAPによって新たにHCCと診断された結節数は75個(+38%増)であった。両群の1、2、3年無再発生存率は、A群で 61%、29%、19%、B群で52%、30%、23%、1、3年生存率は、A群で99%、80%、B群で98%、87%であり、両群に有意差を認めなかった(P = 0.61、0.50)。多変量解析では、再発症例(OR: 2.28、P<0.01)、多発例(OR: 1.48、P<0.01)が無再発生存に寄与する独立した危険因子であり、CTHA/CTAPを術前に行うことは関与しなかった(OR: 1.19、P = 0.20)。【結語】RFAの適応のあるHCC患者において、CTHA/CTAPを術前に施行することは、将来の再発病変を早期に診断している可能性があるが、長期的な再発率の低下や生存率の向上には寄与しなかった。
索引用語 CTHA, CTAP