セッション情報 |
シンポジウム16(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)
胆膵疾患に対するtherapeutic EUSの現状(EUS-FNA を除く)
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タイトル |
内S16-5追:膵消化管吻合部狭窄に対する治療手技-EUS下膵管穿刺術+ランデブー法-
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演者 |
菊山 正隆(静岡県立総合病院・消化器内科) |
共同演者 |
糸井 隆夫(東京医大病院・消化器内科), 山雄 健次(愛知県がんセンター中央病院・消化器内科) |
抄録 |
【背景】膵頭十二指腸切除(PD)後の膵消化管吻合部狭窄は、早期において膵液漏瘻、晩期において反復性急性膵炎に関わる厄介な病態である。我々はこの病態に対し、EUS下膵管穿刺による治療を含めて吻合部狭窄拡張術を実施してきた。【対象・方法】対象はPD後の患者で膵空腸吻合部狭窄12例、膵胃吻合部狭窄6例であった。反復性急性膵炎14例、膵液婁6例であった。消化管からのERCPを用いた吻合部狭窄解除を第一選択とし、不可能な症例に対しEUS下膵管穿刺術+ランデブー法による治療を行った。19Gエコーチップにて穿刺し、0.025inch Guidewire(Jagwire, Visiglide)を、穿刺針を介し膵管内に挿入、吻合部を通過させた後guidewireを留置しながらEUSを抜去。膵空腸吻合部狭窄症例ではシングルバルーン小腸内視鏡(SIFQ260)、膵胃吻合部狭窄では後方斜視鏡JF240を挿入し留置guidewireの先端を把持鉗子にて把持し、鉗子チャンネルより引き出し、それに沿わせて5Fr膵管ステントを留置した。ERCP、EUS下穿刺のいずれも困難な症例に経皮的膵管穿刺あるいは経皮ドレーンを介した吻合部拡張術を実施した。【結果】吻合部が確認できた症例は膵胃吻合において5例(83%)、膵空腸吻合において5例(41%)であった。そのうちでERCPができた症例はそれぞれ4例(67%)、3例(25%)であった。ERCP困難な11(膵空腸:膵胃=2:9)例中7例においてEUS下穿刺+ランデブー法7(2:5)例、経皮的穿刺+ランデブー法2(0:2)例、経皮的拡張術2(0:2)例を行った。全例において吻合部拡張が完遂できた。手技に関連した合併症は経験されなかった。【考察】膵消化管吻合部狭窄はPD術後の厄介な合併症である。その治療は膵胃吻合ではERCPにての成功率が高いが、膵空腸吻合ではEUS下穿刺+ランデブー法を中心とした治療法が必要になる。ただし、いずれも容易な手技ではなく、熟練した内視鏡医においてのみ完遂できる難易度の高いものである。 |
索引用語 |
膵消化管吻合部狭窄, EUS |