セッション情報 ワークショップ1(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会・消化器がん検診学会合同)

肝細胞癌の診断および治療の工夫

タイトル 肝W1-5:

early HCCの画像診断と治療後の予後

演者 安井 豊(武蔵野赤十字病院・消化器科)
共同演者 土谷 薫(武蔵野赤十字病院・消化器科), 泉 並木(武蔵野赤十字病院・消化器科)
抄録 【目的】International Consensus Group for Hepatocellular Neoplasia(ICGHN)によりearly HCCの診断基準が提示され、この概念に含まれる肝癌の早期診断がEOB-MRIを含めた総合画像診断により可能となってきている。今回我々はearly HCCの画像診断・治療後経過について検討した。【方法】2008年3月から2011年3月に腫瘍生検で肝細胞癌の組織診断を得た181結節のうち、MDCT・EOB-MRI・ソナゾイド造影超音波(CEUS)を施行した104例111結節を対象とし、ICGHNの基準での病理診断と画像所見を比較検討した。初回単発HCC RFA施行例についてearly HCCとその他の結節の予後を比較検討した。【結果】全体でEOB-MRI肝細胞相高信号が5結節(中分化型HCC 4結節、低分化型HCC 1結節)、 EOB-MRI肝細胞相等信号が7結節(すべてMDCT多血性であり、early / 高分化型/ 中分化型HCCが2/ 3/ 2結節)、EOB-MRI肝細胞相低信号が99結節中(early/ 高分化型/ 中分化型/ 低分化型HCCが15/ 40/ 38/ 5結節)であった。EOB-MRI肝細胞相低信号結節ではCEUS Kupffer相低エコー83結節(低中分化型HCC 41結節)はCEUS Kupffer相等エコー16結節(中分化型HCC 2結節)と比較して有意に中低分化型HCCが多かった(p=0.02)。early HCC 17結節中、EOB-MRI肝細胞相等信号であった2結節はMDCT動脈優位相多血性で検出された。CEUS Kupffer相は低エコー/ 軽度低エコー/ 等エコーそれぞれ10/ 3/ 4であり、造影前のBモード高エコーの結節は高音圧パルスドプラモードで診断可能であった。初回単発RFA施行例でearly HCCは非early HCCと比し腫瘍径が大きく(平均腫瘍径 14.6mm対20.4mm)、腫瘍マーカー(AFP・PIVKA2)・肝予備能(Alb・T-Bil・PT活性)に有意差は認めなかった。early HCC群は非Early HCC群と比較し無再発生存が高い傾向にあり、局所再発は認めなかった。【結論】EOB-MRI肝細胞相高信号結節にはearly HCCは無く、early HCCの画像診断にはEOB-MRIが最も有用であった。CEUS Kupffer相低エコーのearly HCCは76%であった。early HCCはRFAでの根治性が高く、局所再発が少なかった。
索引用語 early HCC, 肝細胞癌