セッション情報 ワークショップ1(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会・消化器がん検診学会合同)

肝細胞癌の診断および治療の工夫

タイトル 肝W1-6:

肝細胞癌に対する術中造影超音波の有用性の検討および4D超音波の手術への応用

演者 佐藤 公太(東京医歯大・肝胆膵・総合外科)
共同演者 光法 雄介(太田西ノ内病院・外科), 有井 滋樹(東京医歯大・肝胆膵・総合外科)
抄録 【目的】当科で肝切除の際に施行する造影超音波の有用性を検証するため、肝細胞癌(HCC)に対する術前血管造影CTと術中造影超音波における検出能、診断能及び診断精度を比較検討した。また、現在開発中の術中4D超音波の有用性についても併せて報告する。【方法】2007年8月から2008年12月までのHCC切除症例中、術前血管造影CTと術中造影超音波を施行した52症例を対象とし、術中造影超音波の有用性を検討した。Xario-XG 、T型 linear probe (PLT-705BTH) 、4D convex probe(PVT-375MV)(東芝メディカルシステムズ)を使用して、まずB-modeで観察し、その後ソナゾイド0.5ml/body静注して造影を行った。クッパーイメージで新たにdefect像を検出した場合は、再度造影剤を投与し血管像が描出されたものを切除対象とした。肝切除標本の病理診断を基準とし、術前血管造影CTと術中造影超音波の検出能、診断能及び診断精度を比較検討した。また、クッパーイメージで境界明瞭なdefect像を呈する病変を対象として4D超音波を施行した。【成績】1) 術前血管造影CTで83結節、術中造影超音波で新たに10結節が描出され、切除標本でのみ確認された1結節を合わせると、HCC陽性率は術前血管造影CTで91.6%(76結節/83結節)、術中造影超音波で91.2%(83結節/91結節)であった。また、術後6ヶ月以内に検査を行った34症例のうち2症例(各1結節)で再発を認め、この期間の再発を検査の偽陰性と仮定して感度(検出能)、特異度(診断能)、診断精度を求めると(感度:特異度:精度)、術前血管造影CTで87.4%:82.9%:85.9%、術中造影超音波で95.4%:80.5%:90.6%であった。2) 4D超音波では、腫瘍に流入する分枝レベルまで脈管の描出が可能であった。手術操作や体位による変位をReal timeに反映でき、実際の手術支援として有用であったが、検査時間・probeの形態等問題もあり、さらなる改良をへて手術への活用が期待される。【結論】術中造影超音波は肝切除時に非常に有用であり、手術支援としても期待される。
索引用語 肝細胞癌, 術中造影超音波