セッション情報 ワークショップ1(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会・消化器がん検診学会合同)

肝細胞癌の診断および治療の工夫

タイトル 肝W1-7:

造影超音波による簡便な分子標的治療薬効果判定法の試み

演者 田中 弘教(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科)DELIMITER兵庫医大超音波センタ-)
共同演者 飯島 尋子(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科)DELIMITER兵庫医大超音波センタ-), 西口 修平(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科))
抄録 【目的】進行肝癌に対する分子標的治療薬には有効性の一方で、早期効果判定法の確立が緊喫の課題である。分子標的治療薬有効例では治療早期より腫瘍血流変化を認める症例の存在が知られてり、高い空間および時間分解能で腫瘍血流評価が可能な造影超音波検査(CEUS)には期待が持たれるが、煩雑な印象より敬遠されることが多い。今回我々は臨床で導入しやすい造影超音波での治療効果判定法とその意義を検討した。【方法】当院で分子標的薬投与を行った30例の患者のうち、治験患者や投与30日未満の患者を除外した9症例(70.0±8.4歳)を対象とした。検討は分子標的治療薬投与前および投与2週後の造影超音波検査および腫瘍マーカーなどの結果を検討した。機器はPhilips iu22を使用し、腫瘍部および非腫瘍部の時間輝度曲線(TIC)を作成し、専用の解析ソフトQLABで作成した。初回測定条件は以後固定し、最高輝度までの到達時間(Time to Peak:TTP)、rise time (急速流入時間)、最高輝度値、曲線下面積(AUC)、Wash in peak(急速流入速度)を測定た。またこの変化をそれぞれ(治療後2週間)/(治療前値)で求め、臨床経過と比較検討した。さらに10分以降のKupffer相で最大腫瘍径と腫瘍数の増減を確認した。【結果】mRECISTによる治療効果はCR 0例、PR 3例、SD 3例、PD 3例であった。各パラメータの治療前後の変化を治療効果別に検討すると、Rise time変化率はPR、SD、PDでそれぞれ1.74±0.63、0.99±0.21、1.05±0.11とPR例は高値であり、治療効果良好群の予測に有効であった。一方、最高輝度の変化率はPR、SD、PDでそれぞれ0.78±0.24、0.78±0.35、1.23±0.60とPD症例では最高輝度値が治療後上昇しており、治療困難例の予測に期待がもたれた。Kupffer相での腫瘍数や腫瘍径の変化は短期間では認めなかったが、治療中止時期の判定に有用であった。【結語】造影超音波による経過観察は早期動脈相の数分間とKupffer相の数分間で比較的簡便に効果判定可能な有用な検査法であった。
索引用語 造影超音波検査, 分子標的治療薬