セッション情報 ワークショップ1(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会・消化器がん検診学会合同)

肝細胞癌の診断および治療の工夫

タイトル 肝W1-11:

切除不能肝細胞癌に対して何をいつ用いるか?

演者 山中 健也(京都大・肝胆膵・移植外科)
共同演者 波多野 悦朗(京都大・肝胆膵・移植外科), 上本 伸二(京都大・肝胆膵・移植外科)
抄録 根治的治療が困難な多発肝細胞癌 (HCC) には、一般的に肝動脈塞栓化学療法 (TACE) が適応となる。しかしながら、TACEに併用する化学療法剤として何を用いるかに関して推奨されるものはないとされる。そこで、2003年1月から2008年12月までの5年間のTACE患者940例の内、初回TACE症例131例を対象に、エピルビシン-TACE療法とシスプラチン-TACE療法の奏効率を比較する後ろ向きコホート研究を行った。多発では、エピルビシン-TACE:39.6%、シスプラチン-TACE:66.7%と、多発HCCではシスプラチン-TACEが有効であった。TACEに併用する化学療法剤の有効性について検証するために、切除不能多発HCCを対象にエピルビシン-TACE療法とシスプラチン-TACE療法の無作為化比較試験を2010年4月より実施している。一方、肝機能が良好でTACEの適応がある場合でも、繰り返すTACEのためにTACEの効果が不良となる場合がある。そのようなTACE不応HCCにはこれまで肝動注が行われてきたが効果は不良で、現在ではソラフェニブが期待されている。ソラフェニブの効果を最大限に引き出すにはソラフェニブ導入のタイミングが重要である。そこでソラフェニブ早期導入を目的に、TACE1週後におけるリピオドールの集積と3ヶ月後のTEとの関連を検討した。TACE1週後TE2を含む32例は、3ヶ月後,PDが27例,SDが5例であり,CR,PR例は認められなかった。今後は、TACE不応HCCに対しては、TACE1週後の効果判定によるソラフェニブ早期導入の有効性を明らかにする必要がある。【結論】根治治療が困難な多発進行HCC症例において、エピルビシン-TACE療法とシスプラチン-TACE療法の無作為化比較試験により、TACEに併用すべき化学療法剤が明らかにされる。また、TACE不応HCCに対してソラフェニブが期待されるが、TACE1週後の効果判定によるソラフェニブの早期導入の有効性に関する臨床試験を行う必要がある。
索引用語 肝動脈塞栓化学療法, ソラフェニブ