セッション情報 |
ワークショップ1(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会・消化器がん検診学会合同)
肝細胞癌の診断および治療の工夫
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タイトル |
消W1-12:3cm超5cm以下の肝細胞癌に対する治療法の検討-TACE後RFA治療の有用性
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演者 |
篠崎 勇介(千葉大大学院・腫瘍内科学DELIMITER鹿島労災病院・消化器科) |
共同演者 |
金井 文彦(千葉大大学院・腫瘍内科学), 横須賀 收(千葉大大学院・腫瘍内科学) |
抄録 |
【目的】肝癌治療ガイドライン2009の治療アルゴリズムでは、肝障害度AまたはB、腫瘍数3個以内で腫瘍径3cm超の肝細胞癌(HCC)に対する治療法として、切除または肝動脈化学塞栓療法(TACE)が推奨されているが、治療効果を高めるためにさまざまな工夫がされている。今回、3cm超5cm以下のHCCに対するTACE、TACE後RFA、RFAの治療成績を比較検討し、さらに包括払い方式(DPC)環境下における肝癌診療のあり方を考察した。【方法】2002年1月から2010年6月までに当院で初回治療を行ったHCC401例のうち、腫瘍径3cm超5cm以下、腫瘍数3個以内の117例を対象として、生存率、局所再発率、無再発生存期間をretrospectiveに検討した。TACE群(T群)は36例、TACEにRFAを追加した群(TR群)は40例、RFA群(R群)は41例、肝障害度はA 86例、B 31例、腫瘍個数1個58例、2,3個59例であった。またTR群、R群のRFAセッション数、各群の入院期間を比較した。【成績】平均腫瘍径は、T群4.0cm、TR群3.6cm、R群3.3cmで有意差がみられた。生存率は、T群2年78%、3年64%、TR群2年90%、3年81%、R群2年72%、3年58%であり、RFA単独例では必ずしも良い成績が得られなかった。多変量解析では、生存率を上げる因子として肝障害度Aと腫瘍が単発であることが挙げられた。次に局所再発率をみると、TR群1年10%、2年29%、R群で1年21%、2年37%であり、TR群は腫瘍径が有意に大きいにもかかわらず良好な成績であった。また無再発生存期間が長く、短期間再発例が少ないが、入院期間は長かった。RFAセッション数はTR群1.2回に対してR群1.3回であり、TACE後にRFAを行うと少ない治療回数で焼灼マージンが確保できる可能性が示唆された。【結論】腫瘍径3cm超5cm以下のHCCに対しては、ガイドラインで推奨されるTACE後にRFAを追加することで、治療成績が向上する可能性がある。DPC環境下においても医療の質を向上させることが大前提であり、入院期間の短縮に加えて、患者の健康アウトカムも考慮する必要がある。 |
索引用語 |
肝細胞癌, DPC |