セッション情報 ワークショップ1(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会・消化器がん検診学会合同)

肝細胞癌の診断および治療の工夫

タイトル 肝W1-13:

診断群包括医療制度(DPC)時代の肝細胞癌治療戦略と今後の課題

演者 石川 達(済生会新潟第二病院・消化器内科)
共同演者 窪田 智之(済生会新潟第二病院・消化器内科), 上村 朝輝(済生会新潟第二病院・消化器内科)
抄録 【目的】診断群包括医療制度(DPC)の導入により、より効率的な治療が望まれている。そのため、各病院ではクリニカルパスの導入や地域医療機関との積極的な病診連携に力を入れはじめている。今回われわれはDPC導入後の肝細胞癌治療対価と出来高算定との対価の差異から効率的な肝細胞癌の治療戦略につき検討したので報告する。【対象と方法】2006年7月よりDPC導入後に肝細胞癌治療目的に内科的治療目的に当科に入院した症例(前期)と2010年4月DPC点数改訂後2011年1月までの症例(後期)につき、主たる治療をA) RFA単独群B) TACE単独群 C) TACE+RFA群の3群に分類し、それぞれの合併症(腹水、浮腫、肝性昏睡、食道静脈瘤)の治療を含めた入院日数,医療費の変化としてDPCと出来高の収益差(DPC収入-出来高収入)を検討した。【成績】入院日数の平均は前期から後期への変動はA群10.8日から9.1日、B群13.6日から10.2日、C群17.9日から17.2日へいずれも短縮した。収益差はA群、B群とも20日以内の入院では全体として上回った。しかしながら、合併症の治療を含め、20日以上の入院日数となった群では下回った。また、感染合併例の抗生剤投与の投与期間が収入減少の一要因であった。【結論】入院期間の短縮にはクリニカルパスの導入が貢献した。肝細胞癌に対する内科的治療においてTACEとRFAを同一入院で行なう場合に収益差が下回る可能性が高く、その一要因として肝細胞癌に対するRFAにおいてRFA針が医療材料費として手技料に包括されていることが一因と考えられる。さらにTACEとRFAの併用群は複数個の腫瘍性病変に複数回の治療が必要であったことも要因であり、いかに肝細胞癌の早期発見が必要であるかにつき、病診連携の充実も必要と考えられ、当院の取り組みについても報告する。
索引用語 DPC, 肝細胞癌