セッション情報 |
ワークショップ2(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化吸収学会合同)
GALT研究の最前線
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タイトル |
消W2-3:Induction siteである腸管膜リンパ節(MLN)に対する自然免疫の調節作用についての検討
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演者 |
蓮井 桂介(弘前大大学院・消化器血液内科学) |
共同演者 |
石黒 陽(弘前大附属病院・光学医療診療部), 福田 眞作(弘前大大学院・消化器血液内科学) |
抄録 |
【目的】樹状細胞(DC)やTransforming growth factor-β (TGF-β)は免疫寛容と組織修復に重要である.炎症性の刺激や炎症性サイトカインの上昇はDCの成熟とTGF-βの上昇をもたらすとされ,抑制的な効果を示すことも示唆される.我々はIL-8 familyである好中球走化因子ペプチド遺伝子(CINC-1)をラットへ導入し,Th1型免疫応答を示すTrinitrobenzene sulfonic acid(TNBS)腸炎モデルでのMLN,lamina propria mononuclear cells (LPMC)に対する自然免疫の調節作用を検討した.【方法】10-12週齢のWistar, Lewis, Sprague-Dawley雄ラットに対し,day -7に麻酔下でCINC-1 naked cDNAまたはコントロールプラスミドを直腸粘膜下に局注,day 0でTNBS腸炎を誘導し,体重変化,day +14での肉眼的,組織学的な腸炎の評価を行った.また,IL-2,TGF-β発現,DCの成熟,cytokine profileについて評価した.【成績】TNBSに対するMLNでの免疫応答について,OX-62をDC markerとした評価では,OX-62 (+)細胞非存在下ではIL-2は上昇せず,存在下でTNBS-BSAに対し濃度依存性上昇し,DCによる抗原提示の関与が示唆された.CINC-1導入TNBS腸炎モデルでは,day +14の体重,組織学的評価で有意な改善を認めた.MLNのIL-2産生も有意に抑制され,MLN DCにおけるB7.2,OX40L の発現,IL-12,TGF-β発現が亢進した.day+14で腸管での有意なTGF-βの上昇を認め,主たる産生細胞はLPMC macrophage(Mφ)であった.【結論】CINC-1導入によりMLN DCの成熟と抗原刺激に対する抑制,引き続いてLPMC MφのTGF-βの有意な上昇がみられた.CINC-1導入による自然免疫の増強と考えられ,これはDanger signalであると同時に防御的に作用することが示唆された. |
索引用語 |
TNBS腸炎, TGF-β |