セッション情報 ワークショップ2(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化吸収学会合同)

GALT研究の最前線

タイトル 消W2-4:

NSAID起因性小腸粘膜障害に対するパイエル板の関与

演者 日山 智史(大阪大大学院・消化器内科学)
共同演者 飯島 英樹(大阪大大学院・消化器内科学), 竹原 徹郎(大阪大大学院・消化器内科学)
抄録 【目的】近年、NSAID服用者の増加に加え、小腸内視鏡、カプセル内視鏡の出現によりNSAID起因性小腸粘膜障害が注目を集めているが、腸管免疫との関連に関する報告は少ない。パイエル板の腸管内腔側には抗原の取り込みに特化したM細胞が存在し、腸管免疫における免疫誘導の中心的な役割をはたしている。我々はNSAID起因性小腸粘膜障害におけるパイエル板の役割を明らかにするため検討を行った。【方法】(1)8-11週齢のBALB/cマウスにインドメタシン(以下IND)7.5mg/kgを皮下注射し、小腸粘膜障害を生じさせた。IND投与24時間後のM細胞の変化をM細胞特異的抗体、NKM16-2-4抗体による免疫染色にて検討した。又、パイエル板や粘膜固有層(LPL)から単核球を分離し、細胞分画の変化やサイトカイン発現の変化をFACSを用いて測定した。(2)妊娠14.5日の野生型マウスに抗IL-7Rα抗体を静注し、誕生したパイエル板欠損マウスを用いてIND投与24時間後の小腸粘膜障害に関して野生型群と比較した。【成績】(1)IND投与により、M細胞の割合は増加した。また、パイエル板においてCD3+T細胞、CD19+B細胞の変化は認めなかったが、CD11c+樹状細胞、F4/80+マクロファージの増加を認めた。IL-10の細胞内染色ではパイエル板ではLPLと比しIL-10高発現細胞の割合が多く、その多くはCD11c+樹状細胞であった。(2)パイエル板欠損マウス群では野生型群と比較し、有意に粘膜障害が増悪した。【結論】パイエル板はNSAID起因性小腸粘膜障害に対し、IL-10分泌CD11c+樹状細胞の増加を介して保護的に働いている可能性がある。
索引用語 NSAID潰瘍, パイエル板