セッション情報 ワークショップ2(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化吸収学会合同)

GALT研究の最前線

タイトル 消W2-6:

カテコールアミンによる小腸上皮細胞間リンパ球のサイトカイン産生制御

演者 高柳 泰宏(浜松医大・1内科)
共同演者 大澤 恵(浜松医大・1内科), 杉本 健(浜松医大・1内科)
抄録 【目的】腸管上皮間リンパ球(Intraepithelial lymphocyte: IEL)は腸管粘膜免疫の最前線に位置するGALTの効果装置である。腸管には多数の交感神経線維が粘膜固有層まで分枝する。カテコールアミンは交感神経の主要な神経伝達物質だが、免疫系制御にも関与し、末梢血リンパ球ではβ2受容体を介してTh1系サイトカイン産生の抑制に働くことが報告されている。本研究では、ノルエピネフリン(NE)のIELに対するサイトカイン制御機構を検討し、腸管粘膜免疫制御の一端を明らかにすることを目的とした。
【方法】C57BL/6マウス(週齢7~9週、雄)を用い、小腸よりIELを単離した。フローサイトメトリーにより、アドレナリン受容体サブタイプの表出を解析した。IELのサイトカイン産生は、ex vivoの抗CD3/CD28抗体刺激下でCytometoric Bead Arrayにより測定し、NEおよびアドレナリン受容体リガンド投与の影響を、脾細胞を比較対象として検討した。
【結果】IELは、α1B、α1D、 α2C、β1、β2、β3アドレナリン受容体を発現し、これは脾細胞における結果と同様であった。IELは、抗CD3/CD28抗体刺激によりIFN-γ、TNF-α、IL-2、IL-4、IL-10、IL-17Aを産生した。NE(10μM)は、IELのIFN-γ、TNF-α産生を有意に抑制し(IFN-γ:1004.4 ± 123.7 → 370.2 ± 70.7 pg/ml、TNF-α:66.4 ± 6.0 → 43.5 ± 3.8 pg/ml)、β1アドレナリン受容体拮抗薬がこれに拮抗した。一方、脾細胞では、NE(10μM)はIFN-γ、TNF-α産生を有意に抑制し(IFN-γ:1428.3 ± 222.2 pg/ml → 482.1 ± 60.9 pg/ml、TNF-α:232.8 ± 16.0 → 140.7 ± 10.2 pg/ml)、β2アドレナリン受容体拮抗薬がこれに拮抗した。IELにおいて、β1アドレナリン受容体作動薬はNEの作用同様の効果を示した。
【結論】NEは、IELに対し主にβ1アドレナリン受容体を介して、Th1系サイトカイン産生を抑制的に制御していた。交感神経系、カテコールアミン受容体を介した、GALT/腸管粘膜免疫系への制御の一端が示された。
索引用語 IEL, カテコールアミン