セッション情報 ワークショップ2(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化吸収学会合同)

GALT研究の最前線

タイトル 消W2-7:

潰瘍性大腸炎およびCrohn病のabberant lymphocyte migrationに対するautotaxinの役割

演者 八月朔日 秀明(防衛医大・2内科)
共同演者 穂苅 量太(防衛医大・2内科), 三浦 総一郎(防衛医大・2内科)
抄録 【目的】Autotaxin(ATX)は、生理的なlymphocyte migrationに関与することが報告されているが、炎症性腸疾患のabberant lymphocyte migrationでのATXの関与は報告されていない。我々は、Crohn病と潰瘍性大腸炎(UC)患者、および腸炎モデルマウスにおいてATXの発現を比較検討した。【方法】Crohn病、UCの患者を対象とし、活動性および非活動性の部位から生検組織を採取。ATXの発現を免疫染色およびReal Time PCRを用いて比較した。また、DSS腸炎モデルマウスとCD4+CD25-移入モデルマウスの腸管におけるATX発現についても、Real Time PCRを用いて比較した。加えて、ATX阻害薬であるBithionolの、腸炎モデルマウスにおける腸管粘膜障害への効果についても検討した。【成績】免疫染色では、high endothelial venule-like vesselに一致してATXの発現を認めた。Real Time PCR では、UC、Crohn病いずれにおいても、ATXの発現量は、非活動部と比較して活動部で有意に高値を示し、更に、粘膜障害の進行に伴い有意に増加傾向を示した。腸炎モデルマウスでも、腸炎群の腸管におけるATXは、非腸炎群に比べて有意に上昇した。Bithionol投与により、腸炎モデルマウスのabberant lymphocyte migrationおよび腸管粘膜障害は有意に改善した。【結論】ATXの、UC・Crohn病におけるabberant lymphocyte migrationへ関連している可能性が示唆された。また、ATXが、炎症性腸疾患における新たな治療ターゲットとなる可能性があると考えられた。
索引用語 Autotaxin, 炎症性腸疾患